決定的な一言
その後、二人で食器を片付けていた。料理で多少打ち解けられたのか、雰囲気は和やかで会話が弾んでいた。
「他の料理だけど、何から教える?」
「そうですね……煮物とかあまり詳しくないので、教えていただきたいです!」
「煮物ねー。分かった」
得意げに快諾する義母に、やっと仲良くなる糸口を見つけられた気がして私は嬉しくなった。
「ありがとうございます。できる料理の幅が増えて嬉しいです!」
おべっかではない、自然な感謝と嬉しい感情が私から漏れ出た。しかし、続く義母の言葉に、私は絶句した。
「これくらいできるようになってもらわないと困るわ。最後は面倒みてもらうんだし」
その一言に私は、義母に対して明確な拒否感を抱かざるを得なかった。
あとがき:「家族」の境界線を知った日
義母との関係に悩みながらも、「家族だから」と我慢してきた。けれど、あの日の一言で気づいた。血のつながりがなくても、思いやりは築ける。逆に、つながりがあっても、敬意を欠けば関係は壊れてしまう、と。
麻衣が義母に拒否感を抱いたのは、「自分を守る選択」だったのかもしれない。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています
記事作成: tenkyu_writing
(配信元: ママリ)

