睡眠時無呼吸症候群の治療として広く使われている「CPAP療法」。この治療を始めると、「一生続けなければならないのか?」と疑問に思う方もいるのではないでしょうか。そこでCPAP療法がどのような治療法なのか、そして継続の必要性や途中で辞められる場合があるのかなどを、医師の岩間先生(日本橋循環器科クリニック)に解説してもらいました。

監修医師:
岩間 義孝(日本橋循環器科クリニック)
順天堂大学医学部卒業。その後、循環器を専門に東京都立広尾病院や横浜労災病院などで経験を積み、米国メイヨークリニック循環器科への留学などを経て平成19年6月より日本橋循環器科クリニック院長となる。日本循環器学会専門医、日本内科学会認定医。
編集部
睡眠時無呼吸症候群の人はCPAPをずっと使い続ける必要があるのですか?
岩間先生
私たちも、患者さんから「CPAP療法はいつまで続けたらよいのですか?」という質問をよく頂戴します。まず大前提として、CPAP療法は、装着すると無呼吸や低呼吸が改善されますが、やめると元に戻ってしまいます。基本的にCPAP療法は「続けていると徐々にいらなくなってくる」というような治療ではありません。
編集部
では、辞めることはできないということでしょうか?
岩間先生
そういうわけではありません。閉塞性睡眠時無呼吸になりやすい大きな要因の一つに肥満があります。中等症以上の睡眠時無呼吸症候群患者さんの7割以上がBMI25以上とも言われています。肥満の人は、首にも脂肪がたくさんついているので喉が狭くなりやすく、閉塞性睡眠時無呼吸を起こしやすくなります。逆に言うと、減量することにより睡眠時無呼吸の改善が期待できるのです。研究データでも、10%の減量により無呼吸をあらわす指数が26%減少することが報告されています。
編集部
軽い睡眠時無呼吸症候群の方にも、そういった指導をするそうですね。
岩間先生
その通りです。CPAP療法をしている患者さんも、軽度の睡眠時無呼吸症候群患者さんが行っているような減量指導や生活改善をすることで、睡眠時無呼吸症候群の改善が期待できます。私が診てきた患者さんの中にも、適切な食事・運動療法を行い10kgの減量に成功し、CPAPを辞められた方が実際にいらっしゃいます。
編集部
最後に、Medical DOC読者へのメッセージがあればお願いします。
岩間先生
睡眠時無呼吸症候群の人の中には、高血圧や糖尿病などの生活習慣病を併発している人も多くいらっしゃいます。だからこそ、なおさら食生活や生活習慣の改善はとても重要です。現在CPAP療法を受けている人も、「CPAPできちんと眠れているから安心」と油断せず、生活そのものを見直してみましょう。自己管理をしっかりして、CPAPがいらなくなる人もいらっしゃいます。
※この記事はMedical DOCにて<睡眠時無呼吸症候群の治療は一生続くの? 「CPAP療法」は途中で辞められる?【医師解説】>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
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