「梅毒」の症状・感染経路はご存知ですか?【医師監修】

「梅毒」の症状・感染経路はご存知ですか?【医師監修】

梅毒とは、性感染症の一種であり、近年感染者が増えている病気です。誰でもかかる可能性があるため、注意が必要です。

しかし、具体的な症状や感染経路など、どのような病気なのかを知らない方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、梅毒の症状を詳しく解説します。感染経路・症状など説明します。

磯野 誠

監修医師:
磯野 誠(医師)

医療法人社団太公会我孫子東邦病院所属
2006年防衛医科大学校卒業、2013年防衛医科大学校医学研究科、2015年Heinrich Heine大学泌尿器科学講座(ドイツ連邦共和国)留学、 2023年所沢いそのクリニック開院

※この記事はメディカルドックにて『「梅毒」の症状・初期症状・感染経路はご存知ですか?』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

梅毒の症状と感染経路

ウイルスのイメージ

梅毒はどのような病気でしょうか?

現在、性感染症の中でも、感染者が急増している病気が梅毒です。
この病気は、戦前では不治の病と恐れられる病気でした。現在では治療薬が普及していることもあり、治療することは可能です。
しかし、この病気は決して軽視してよいものではありません。患者数は増加傾向であるだけでなく、身近で感染する可能性があるのです。
比較的軽度な症状の場合もありますが、重度の場合もあるため、万が一症状が見られた場合にはすぐに治療が必要となります。

感染経路を教えてください。

梅毒の感染経路は、次のようなものが挙げられます。

性行為

キス

母体から胎児への感染

この病気の原因は、梅毒トレポネーマと呼ばれる原因菌です。感染した場合、精液・血液・膣分泌液などに、原因菌が存在するのです。そして、この原因菌が上記のような感染経路を経て、他の方に感染していきます。
性行為はその代表的な感染経路です。性行為にはオーラルセックスやアナルセックスも含み、性器同士の接触や性器と肛門の接触・性器と口の接触などにより、粘膜や皮膚の小さな傷から原因菌が非感染者の身体に侵入してきます。
口に原因菌がある場合は、キスでも感染します。唾液を通じて、原因菌が運ばれてしまうのです。
また、母体が感染している場合には、胎児にも感染するリスクがあります。先天梅毒と呼ばれる感染症で、早産・死産・奇形などのリスクを伴うため、注意が必要です。

発症した場合はどのような症状・初期症状がみられますか?

発症した場合、症状は段階を経て現れます。段階としては、第1期~第3期という形で進んでいきます。
第1期と呼ばれる時期は、潜伏期間を経て初期症状が現れるタイミングです。潜伏期間はおおよそ3週間程度といわれており、この時期を過ぎると徐々に症状が見られるようになるのです。
まず最初の症状としては、原因菌が侵入した箇所に小さなしこりが現れます。これは、初期硬結と呼ばれるものです。赤く腫れたようになり、硬いですが痛みが無いことがほとんどです。太腿の付け根部分のリンパ節が腫れることもあります。
初期症状は、数週間で消滅する傾向で、症状に気づきにくい点が特徴です。稀に、第1期の症状が退縮しないうちに、第2期の症状が重なることもあります。また、びらんや潰瘍ができることもあり、脳や脊髄への浸潤も起こりえる状態です。
症状が進行すると、第2期へと移行します。感染からおおよそ1ヶ月~3ヶ月程であり、現れる症状も異なります。手のひら・足の裏・顔など全身にバラ疹と呼ばれる発疹が現れるようになるのです。また、のどが腫れることもあります。
第2期の症状が全身に現れる理由は、原因菌が全身に広がったためです。しかし、ここでも一時的に症状がみられますが、数週間程度で消滅します。そのため、見過ごして治療に取りかからないことも多いのです。目に見える症状は消滅しますが、体内には原因菌が潜伏した状態となっています。
第3期と呼ばれる時期になると、血管症状やゴム腫、進行麻痺などが現れるようになります。感染から、おおよそ3年程度経過したタイミングです。

症状が出ないこともあるそうですね。

先述したように、第1期~第3期といった、症状の進行が見られることはありますが、何年も潜伏したままで経過する潜伏梅毒であるケースもあるのです。その場合は、表面に見える症状が少ないために、感染していることに気づくのが遅れてしまう可能性があります。
しかし、症状が出ていないからといって安心できるわけではありません。表立って症状が見られなくとも、皮膚や内臓では静かに悪化している可能性があります。

編集部まとめ

股を押さえる人
梅毒は、昔の病気ではありません。現在も感染者が増えている病気であり、感染拡大を防ぐため、再感染を防ぐためには正しい予防と治療が大切です。

万が一感染しても、早期に治療することができれば、症状を悪化させず完治させることも不可能ではありません。

症状を見逃して、発見が遅れてしまうようなことを避けるためにも、正しい知識を身につけて感染と悪化を防ぎましょう。

参考文献

梅毒の解説|STD研究所

梅毒|東京都性感染症ナビ

急増する梅毒 原因や感染経路とは?症状・予防・治療法を徹底解説|NHK健康ch

もしかして梅毒!?|東京都性感染症ナビ

配信元: Medical DOC

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