子どもという名の居場所
淡々と平穏に進んでいく日々。どこか物足りなさを感じるミカは、愛情をそそげる子どもという居場所がほしくてたまりません。ゆるやかに続く苦しみに耐えられず、ミカはシュンに離婚を切り出しました。<作ろう子ども。別れるくらいなら子どもいる方がマシだわ>シュンの回答はミカへの精一杯の愛情なのか、あるいは諦めなのか。やっと譲歩してくれたシュンに、ミカはよろこびを隠せないでいました。ところが肝心の夜の行為はままならないまま。シュンは逃げ腰で、現実を直視していないのです。
生まれてきた子どもは幸せなのか
子どもにかけるミカの熱意は増すばかりで、妊活への努力は涙ぐましく、反面シュンは追い詰められていきます。排卵日前後にセックスを要求するミカに、<人を種馬みたいに……>とつぶやき、<俺よりもまだ存在すらしない子どものほうが大事なのかよ>
と、悲痛な叫びをあげます。
子どもを持つことに関して、シュンはなぜここまで頑ななのか。シュンにはミカがうかがい知れない、トラウマがありました。
幼少期から実家を離れるまで、利己的な両親に翻弄されてきたのです。子どもだった頃に、家庭内の幸せなど味わう余裕もありませんでした。むしろ忘れたい記憶ばかりで、両親+子ども=幸せという予想図が、どうしても描けないのです。
やっとミカに事情を打ち明けるのですが、ミカの出した結論は、切なくも前向きな未来でした。

