「中耳炎の症状」はご存知ですか?原因や予防法も解説!【医師監修】

「中耳炎の症状」はご存知ですか?原因や予防法も解説!【医師監修】

中耳炎の治療と予防

中耳炎の治療と予防

中耳炎は自然に治りますか?

中耳炎は、症状や重症度によっては自然に治ることもあります。例えば、軽度の急性中耳炎や滲出性中耳炎は、体の免疫力が病原体を排除することで、特別な治療をせずに改善するケースがあります。

一方で、症状が進行する可能性や、体調や年齢によっては自然治癒が見込めない場合も少なくありません。なかでも小さな子どもの場合は自覚症状をうまく訴えられず、気付かないうちに悪化していることもあります。

また、治療を受けずに放置すると、膿が中耳にたまり続けて鼓膜が破れたり、聴力が低下する恐れがあります。まれにですが、炎症が内耳や側頭骨、さらには脳に波及し、重篤な合併症につながる可能性も否定できません。
なかでも、耳の聞こえづらさや、長引く鼻水、咳などがある場合には要注意です。

中耳炎の治療について教えてください

中耳炎の治療は、その種類と症状の程度によって異なります。急性中耳炎の場合、軽度であれば鼻の吸引などの鼻加療を中心に、自然治癒を待つこともあります。
ただし、発熱や強い痛み、耳だれなどの症状がある場合には、抗菌薬の服用や、必要に応じて鼓膜を切開して膿を排出する鼓膜切開術が行われることがあります。

滲出性中耳炎では、ネブライザー療法やマクロライド系抗菌薬の少量長期投与、抗アレルギー薬の使用などが主な治療方法です。効果が不十分な場合は、鼓膜に小さな換気チューブを留置する鼓膜チューブ留置術が選択されることもあります。
また、アデノイド肥大が原因の場合はアデノイド切除術が併用されることがあります。

慢性中耳炎は再発しやすく、治療が長期にわたる傾向があるため、抗菌薬や点耳薬で症状をコントロールしつつ、根本的な改善のために鼓膜形成術や鼓室形成術などの外科的処置が必要になる場合もあります。

中耳炎は予防できますか?

中耳炎は、日常生活のなかである程度予防できます。基本的な対策は、風邪をひかないようにすることです。手洗いやうがいを習慣づけ、体調管理をしっかり行うことで、中耳炎の引き金となる鼻や喉の炎症の予防につながります。

また、鼻を強くかんだり、鼻水をすすることは耳管に圧をかけ、中耳に病原体が侵入する原因になります。鼻をかむ際は片方ずつ優しく行い、うまく噛めない子どもには家庭用の鼻吸引器を活用するのも効果が期待できます。

さらに、鼻炎やアレルギー、副鼻腔炎などがある場合は、それ自体が中耳炎の誘因となるため、適切な治療を継続することが大切です。鼻の症状が長引くと耳管機能にも影響を及ぼすため、耳鼻咽喉科での定期的な診察もおすすめされます。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

中耳炎は一見すると軽い病気のように感じられるかもしれませんが、放置すれば聴力低下や慢性化といった深刻な問題につながることもあります。
耳の痛みや聞こえづらさ、鼻や喉の不調が続くときは、迷わず耳鼻科を受診しましょう。日頃から予防やケアを意識することで、健康な耳を守ることができます。

編集部まとめ

編集部まとめ

ここまで中耳炎の症状についてお伝えしてきました。中耳炎の症状の要点をまとめると以下のとおりです。

中耳炎とは、耳の鼓膜の奥に位置する中耳に炎症が生じる病気を総称したもので、それぞれのタイプによって原因や症状、治療法が異なる

中耳炎の症状として、急性中耳炎は突然起こる耳の痛み、滲出性中耳炎は軽度から中等度の難聴や耳がつまったような感覚(耳閉感)、慢性中耳炎は耳だれとともに難聴などが挙げられる

中耳炎の治療において、急性中耳炎の場合は軽度であれば鼻の吸引などの鼻加療を中心に自然治癒を待つこともあるが、滲出性中耳炎では、ネブライザー療法やマクロライド系抗菌薬の少量長期投与などを行う場合もある

中耳炎の種類や症状、原因などを理解し、早期発見と治療につなげましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

参考文献

急性中耳炎|特定機能病院 日本大学医学部附属 板橋病院

配信元: Medical DOC

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