近年の研究により、NSAIDs系薬剤の長期使用が心血管系疾患のリスクを高める可能性が指摘されています。ロキソニンも例外ではなく、血圧上昇や血小板機能への影響が認められています。心血管系危険因子を持つ方では特に注意が必要であり、定期的な血圧測定などによる監視が推奨されます。

監修薬剤師:
佐孝 尚(薬剤師)
北海道医療大学薬学部 卒業 現在はセンター薬局グループに薬剤師として勤務しながら株式会社イヤクルを創業。不動在庫医薬品取引プラットフォームアプリ【イヤクル】を運営。
保有免許・資格
薬剤師免許
ロキソニンの心血管系への影響
近年の研究により、NSAIDs系薬剤の長期使用が心血管系疾患のリスクを高める可能性があることが明らかになっています。ロキソニンについても例外ではなく、心筋梗塞や脳卒中などのリスクが増加する可能性が指摘されています。
このリスクは特に高血圧、糖尿病、脂質異常症などの心血管系危険因子を持つ方で高くなるとされています。また、既に心血管疾患を患っている方では、症状の悪化や再発のリスクが高まる可能性があります。
血圧への影響
ロキソニンは血圧を上昇させる作用があることが知られています。これは、プロスタグランジンの生成阻害により血管拡張作用が減弱し、ナトリウムと水分の貯留が起こることによるものです。
高血圧の治療を受けている方では、降圧薬の効果を減弱させる可能性があるため注意が必要です。ACE阻害薬やARBなどの降圧薬を服用している場合には、医師との相談のうえで使用することが推奨されます。
血圧への影響は通常軽度ですが、長期間の使用や高用量での使用では影響が強くなることがあります。定期的な血圧測定により、血圧の変化を監視することが重要です。
血小板機能への影響
ロキソニンは血小板の凝集能を低下させる作用があります。これにより出血時間が延長し、出血のリスクが高まる可能性があります。手術予定がある場合や、抗凝固薬との併用を行う場合には特に注意が必要です。
歯科治療を受ける場合にも、出血のリスクを考慮する必要があります。処置の内容によっては、事前にロキソニンの服用を中止することが推奨される場合があります。医師や歯科医師との相談のうえで、適切な対応を取りましょう。
まとめ
ロキソニンは多くの方にとって有効な鎮痛薬ですが、その効果を安全に得るためには適正な使用方法の理解が不可欠です。効果とデメリットを正しく理解し、適正量を守り、他の薬剤との飲み合わせに注意することで、安心して使用することができます。症状が持続する場合や重篤な副作用が現れた場合には、速やかに医療機関を受診し、医師の適切な指導を受けることが重要です。日常的な痛みの管理において、ロキソニンを適切に活用し、より快適な生活を送りましょう。
参考文献
低用量アスピリン及び非ステロイド性消炎鎮痛薬による消化管障害の危険性の評価
アスピリンと非ステロイド性消炎鎮痛薬との併用に関する調査
市販の解熱鎮痛薬の選び方|厚生労働省

