ノロウイルスは食中毒や感染性胃腸炎の原因となるウイルスで、特に冬季に発生のピークを迎えます。
ノロウイルスには有効なワクチンや抗ウイルス剤がなく、治療が対症療法に限られるため、徹底した予防対策が必要です。
この記事では、ノロウイルスの原因となる食べものや症状、ノロウイルスになったときの食事の摂り方も併せて解説していきます。
ノロウイルスの流行への備えや、下痢や嘔吐のときの食事療法を知りたい方の参考になれば幸いです。

監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。
ノロウイルスとは

ノロウイルスの特徴を教えてください。
ノロウイルスは熱や乾燥に強く、長期間生存が可能なことから少量(10〜100個)でも感染・発症します。感染力が非常に強く、長期免疫も成立しないため、一度罹っても何度も感染を繰り返します。ノロウイルスに有効な抗ウイルス剤はないため、治療は点滴などの対症療法に限られます。
ノロウイルスになったときの症状を教えてください。
ノロウイルスに感染すると、次のような症状を呈します。吐き気
嘔吐
下痢
腹痛
軽度の発熱
感染から発症までの潜伏期間は24〜48時間です。感染しても発症しない場合や、風邪のような症状で済む方もいます。持病のある方や乳幼児、高齢者などは、脱水症状を起こしたり重症化する場合もあるので注意が必要です。
ノロウイルスはどのようにかかりますか?
ノロウイルスの感染経路はほとんどが経口感染です。ノロウイルスが付着した食品を加熱不十分で食べた場合に感染します。食品取扱者はノロウイルスに感染した場合、手を介してウイルスが付着した食品を食べた場合でも、二次的に感染が拡大するので注意が必要です。感染者のふん便や嘔吐物にはノロウイルスが大量に含まれています。家庭や共同生活施設での感染様式は、感染者が排便後に手洗いが不十分で触れたドアノブなどを介して感染する接触感染です。感染者のふん便や嘔吐物が飛散した際の飛沫感染や、空気中に漂うノロウイルスを吸い込むことによる空気感染もあります。
どのような方がノロウイルスになりやすいですか?
ノロウィルスになりやすい方は、次のような方が挙げられます。高齢者、幼児など免疫力が低い方
糖尿病や腎臓病などの慢性疾患がある方や、がん治療中などで免疫機能が低下している方
妊婦
保育施設や学校、介護施設などの感染拡大が起こりやすい環境にいる方は、ノロウィルスになりやすいといえます。
ノロウイルスは冬にかかりやすいのは本当ですか?
ノロウィルスは、1年を通じて発生しますが特に冬にかかりやすい感染症です。低温や乾燥に強いノロウイルスは、空気が乾燥しやすい冬ほど感染力を保ちやすいため冬に流行します。また、冬はノロウィルスの原因である牡蠣を食べる機会が増えることも、冬にノロウィルスにかかりやすい理由の1つと考えられます。
ノロウイルスと食事の関係性について

どのような食べ物がノロウイルスの原因になりますか?
ノロウイルスの原因となる食べ物は、ノロウイルスに汚染された牡蠣を含む二枚貝があります。ノロウイルスに汚染された二枚貝を加熱不十分で食べることで食中毒が発生しており、十分に加熱すれば、食べても問題ありません。
ノロウイルスを予防するため食事のときに気をつけるべきことを教えてください。
ノロウイルスによる食中毒は、ノロウイルスに汚染された二枚貝を加熱不十分で食べることで発生しています。ノロウイルスは、85〜90度の高温で90秒以上加熱することで死滅します。食品を十分に加熱調理することが重要です。

