インフルエンザは感染症の1つで、日本では冬に流行する病気です。ほとんどの場合、1週間程度で症状は治まりますが、個人差があります。
患者さんによっては、インフルエンザと診断された次の日には、解熱して体調が回復しているケースもあります。反対に、症状が続いて仕事に支障をきたす方もいるでしょう。
本記事では、インフルエンザによる出勤停止などを紹介します。
※この記事はメディカルドックにて『「インフルエンザは何日休む」かご存知ですか?潜伏期間も解説!【医師監修】』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
眞鍋 憲正(医師)
信州大学医学部卒業。信州大学大学院医学系研究科スポーツ医科学教室博士課程修了。日本スポーツ協会公認スポーツドクター、日本医師会健康スポーツ医。専門は整形外科、スポーツ整形外科、総合内科、救急科、疫学、スポーツ障害。
インフルエンザによる出勤停止

インフルエンザの出勤停止は法律で定められていますか?
インフルエンザには、法律による出勤停止の規定はありません。季節性・新型インフルエンザのいずれの場合も、出勤しても罰則などは設けられていないため、対応は企業の判断に委ねられます。しかし、インフルエンザは感染力が強く、出勤によって社内感染のリスクを高める可能性があるため十分な注意が求められます。インフルエンザを発症したり医師から指導があったりした場合は、速やかに会社に相談しましょう。労働安全衛生法第68条では、事業者は伝染性の疾病やその他の疾病について、厚生労働省令で定めるものにかかった労働者に対し同省令に基づいて就業を禁止しなければならないと規定されています。具体的に、以下のいずれかに該当した場合、出勤してはいけません。病毒伝播のおそれのある伝染性の疾病にかかった場合
心臓・腎臓・肺などの疾病にかかり、労働のため病勢が著しく増悪する可能性がある場合
厚生労働大臣が定める疾病にかかった場合
今後新たに新型インフルエンザが誕生し、上記に該当した場合は、出勤停止が義務となります。インフルエンザだからといって出勤停止にならないとは限らないため、随時確認しましょう。
症状がおさまっていても周りに感染させる可能性がある期間は休むべきですか?
インフルエンザは発症後、3〜7日間はウイルスが排出されるといわれています。そのため、症状がおさまっていても出勤は控えるべきです。具体的に感染力がなくなる時期は明確ではありませんが、発症から時間が経過する程、感染リスクは低下します。そのため、可能であれば発症日の翌日から7日間は休むことが望ましいでしょう。業務上、長期間休むことが難しい場合でも、咳や熱などの症状がひいてから2日間は外出を自粛する方がよいでしょう。
出勤の際には治癒証明書などは必要ですか?
インフルエンザに感染した場合、出勤時に治癒証明書や検査陰性の証明書を求められることは、法律上の義務ではありません。明確な陰性基準がないため、証明書を取得することは必ずしも適切ではなく、医療機関に余計な負担をかけてしまう可能性があります。また、証明書の取得が診察予約や待ち時間を長引かせ、ほかの患者への医療提供に支障をきたすおそれもあります。企業によっては出勤の判断を任せるケースもありますが、発熱や体調不良の症状が完全に治まっていない状態での出勤は、社内感染のリスクを高めるため避けるべきでしょう。そのため、治癒証明書の有無に関わらず、症状が改善してから出勤することが重要です。
編集部まとめ

本記事では、インフルエンザの発症日や潜伏期間、出席・出勤停止に関する法律などを紹介しました。
インフルエンザは通常1〜5日間を潜伏期間とし、発症後3〜7日間はウイルスを排出していると考えられています。3日程度で症状が落ち着いても、可能であれば外出は控えると周りへの感染リスクを軽減できるでしょう。
学校への出席停止は、学校保健安全法によって定められています。しかし、保護者の出勤停止については、法律上の規定は設けられていません。
家族や自身がインフルエンザを発症した場合の対応は、受診した医療機関で確認しましょう。また、発症を予防するために、こまめな手洗いやうがい、アルコール消毒を徹底することが大切です。
参考文献
インフルエンザ出席停止早見表
「新型インフルエンザ」入門(厚生労働省)
令和3年度インフルエンザQ&A(厚生労働省)

