「多嚢胞性卵巣症候群」を放置するとどうなるかご存じですか?予防法も医師が解説!

「多嚢胞性卵巣症候群」を放置するとどうなるかご存じですか?予防法も医師が解説!

多嚢胞性卵巣症候群(polycystic ovarian syndrome)は略してPCOSと呼ばれ、卵胞が育つのに時間がかかり、なかなか排卵しない疾患です。

月経不順・無月経・にきびが多い・毛深い・肥満などの自覚症状があれば、該当する可能性があります。

若い女性の排卵障害で多くみられます。不妊の原因にもなり、妊娠を希望しているかどうかで治療方針が変わってくる点も知っておきましょう。

また子宮体がんなどの病気リスクが高まるため、放置せずに改善しておくべき疾患です。多嚢胞性卵巣症候群の予防法と注意点などについて紹介します

※この記事はメディカルドックにて『「多嚢胞性卵巣症候群」を発症すると現れる症状・原因はご存知ですか?』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

郷 正憲

監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)

徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。

多嚢胞性卵巣症候群の予防と注意点

運動する女性

多嚢胞性卵巣症候群を予防することはできますか?

原因ははっきりと分かっていません。体質の一つといえるでしょう。
一般的に、初経からしばらくは月経不順であっても次第に規則的になっていきます。しかし多嚢胞性卵巣症候群の人は、初経からずっと月経不順が続いている人が多いです。年齢とともに多嚢胞性卵巣症候群による排卵障害は進み、月経周期も長くなっていく傾向にあります。
多嚢胞性卵巣症候群の人の5人に1人が肥満といわれており、減量によって改善することが期待できます。

多嚢胞性卵巣症候群の治療の注意点はありますか?

排卵誘発剤の注射を使う場合は、有効な薬の量を調整するのが難しく、少量だと反応せず量を増やすと過剰反応するという可能性があります。薬に過剰反応して卵巣が腫れてしまい、お腹などに水がたまってしまう副作用を卵巣過剰刺激症候群(OHSS)といいます。
重症化すると血栓症や腎不全が起こり入院する必要があるため、気をつけてください。また一度に複数の排卵をした結果、多胎妊娠の可能性もあります。
これらの副作用を回避するためには、少量の注射を毎日続けることが最良の方法です。

多嚢胞性卵巣症候群を放置するとどうなりますか?

治療しないまま放っておくと、子宮内膜増殖症・子宮体がん(子宮内膜がん)のリスクが高まってしまいます。
排卵が起こらないと子宮内膜の増殖を抑えるプロゲステロンが分泌されません。子宮内膜を増殖させるエストロゲンが働きかける状態が長期間続いてしまい、異常な変化が生じてしまうのです。
メタボリックシンドローム・糖尿病・高血圧になりやすい傾向もあり、肥満の人は可能性が高まります。一方、妊娠できる年代の後半になり卵巣機能が低下してくると、月経周期が改善されることもあります。

編集部まとめ

お腹にハートマーク
多嚢胞性卵巣症候群は病気というよりも体質の一つと考えられるでしょう。その程度や原因も人それぞれで、自分に合った治療方法を選択することが大切です。

妊娠を希望している場合、または将来的な子宮体がんなどのリスクを減らすため、治療・改善する必要がある疾患ということを知っておいてください。

「生理が不規則で、にきびが多く毛深い体質」「間隔は長いけれど生理は来ているから大丈夫かしら?」といった人は、産婦人科で一度相談してみましょう。

参考文献

多嚢胞性卵巣症候群(日本内分泌学会)

配信元: Medical DOC

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