
ドラマの主人公というのは、なにも明朗快活な良い人で分かりやすいキャラクターじゃなくても、少し危なげでミステリアスな人間という場合でも人気がでる。15年間放送されているドラマ「絶対零度」の主人公は、シリーズ1&2が新人刑事・桜木泉(上戸彩)、シリーズ3&4はダークヒーロー・井沢範人(沢村一樹)、そして放送中のシリーズ5でベテラン刑事・二宮奈美(沢口靖子)へとしっかりバトンが渡されている。前シリーズの沢村主演作「絶対零度~未然犯罪潜入捜査~」(2020年放送)は、FOD・TVerで第1話をはじめ順次無料公開中。第10話で井沢が、同僚相手に常軌を逸した行動をとっているので紹介する。
■香坂の死を受け止めきれず井沢が暴れる
今作は、日本全国の防犯カメラ映像、メール、電話、SNSの通信履歴など、あらゆるビッグデータを解析して割り出された“未来の犯罪者”を潜入・追跡捜査し、犯罪を未然に防ぐ“未然犯罪捜査班”(通称・ミハン)の活躍を描く刑事ドラマ。
第10話。東京サミットを狙ったテロは未然に防がれた。だがその最中、テロに関与していると思われたミハンの統括責任者・香坂(水野美紀)が射殺される。銃声を聞いて駆けつけたSATは、拳銃を持って香坂の遺体の前に佇む井沢(沢村)を拘束しようした。井沢は、SATや駆けつけた山内(横山裕)を倒し、立ち去ろうとする。そんな井沢に山内は銃を向けて、撃つ。
■小田切の交際相手・篠田が撃たれる
取り調べを受けた曽根崎(浜田学)は、テロへの関与を完全に否定した。一方、警視庁の上層部は、すべての責任を死亡した香坂に押し付け、ミハンも解体の危機に陥る。ミハンルームにガサ入れが入り、面々が取り調べを受けることに。そんな矢先、小田切(本田翼)の交際相手・篠田(高杉真宙)が何者かに撃たれるという事件が起きる。小田切は、篠田が自分を撮影した写真を見て、同じ人物が映り込んでいることに気づく。それは今回のテロに関わっていたクラッカーの諏訪(松尾諭)だった。篠田は、ミハンに関わったから事件に巻き込まれたのか、と責任を感じる小田切だった。
■香坂の死と26年前の事件の関連性について明かされる
香坂の死を無駄にしないため、真犯人を捕まえるため、立ち上がるミハンチーム。そんな中、香坂が殺されたことで、加賀美(柄本明)がようやく重たい口を開き始める。26年前に起きた映画館の毒ガス事件で救った1人の少年の話。それぞれに思いを抱えながら、真犯人を突き止めるため、ミハンチームが動き始める。
主人公の井沢は、自宅で妻子を殺されている過去があり、その悲しみを越えられぬままミハンの活動をしていた。追い打ちをかけるように起きてしまった香坂の死。配属された当初から“危険”な男であるとマークされていた井沢を山内も警戒しているところがあったが、香坂を失ったことで完全に狂気と怒りが爆発してしまう。
山内と対峙して揉み合いになり、曽根崎をぶん殴り首を絞めるシーンの井沢の表情はまるで“鬼”。しかし、山内の首を絞め上げ、自分の気がふれたことを自覚した井沢は正気を取り戻し「彼女の死を無駄にするわけにはいかない」と、真犯人の特定を急ぐのだった。実に緊迫感に満ちたシーンである。

