現在は、医療技術の進化により「乳児の赤あざは、できるだけ小さいうちに治療をおこなった方がいい」とする考えが普及しています。今回は乳児の赤あざができる原因について、「よしクリニック」の中野先生に解説していただきました。

監修医師:
中野 貴光(よしクリニック)
筑波大学医学群卒業。その後、東京女子医科大学病院、都立府中病院(現・多摩総合医療センター)、日本大学医学部附属板橋病院、東京都立豊島病院、川口市立医療センターなどで形成外科医として経験を積む。2019年、東京都練馬区に「よしクリニック」を開院。医学博士。日本形成外科学会形成外科専門医・小児形成外科分野指導医、日本熱傷学会専門医、日本レーザー医学会専門医、日本手外科学会専門医。日本美容外科学会(JSAPS)、日本抗加齢医学会の各会員。
編集部
乳児にできる赤あざについて教えてください。
中野先生
代表的なものに、「乳児血管腫」があります。乳児血管腫は、未熟な毛細血管が増殖してできるあざです。
編集部
乳児血管腫は生まれつきできるのでしょうか?
中野先生
いいえ。ほとんどが生まれつきではなく、生後数週以内に赤い湿疹のような状態で表れます。はじめは表面が赤いだけですが、徐々に隆起してきます。盛り上がってくると、赤い凸凹した腫瘤状になり、いちごのように見えることから「いちご状血管腫」とも呼ばれています。
編集部
いつ頃から発症するのですか?
中野先生
一般的に生後1~4週に出現し、1歳くらいまでは増大する可能性があり、急激に大きくなることもあります。増大した腫瘤の血流が悪くなって潰瘍(かいよう)化したり、出血したりすることもあります。多くの場合、1歳以降に少しずつ盛り上がりも赤みも減少していきますが、ブヨブヨとした皮膚や赤みが残る場合もあります。
編集部
そのほかには、どのようなあざがありますか?
中野先生
「単純性血管腫」という赤あざもあります。単純性血管腫は先天性の平坦な赤あざです。一般に、大人になっても自然に消えることがなく、成長に伴って色が濃くなったり、腫瘤(しゅりゅう)を作ったりする場合もあります。
編集部
単純性血管腫は消えないのでしょうか?
中野先生
単純性血管腫の一種である、額の真ん中や上まぶたなどにできる「サーモンパッチ」や、頭部からうなじにかけてできる「ウンナ母斑」であれば、成長に伴って薄くなることがあるとも言われていますが、必ず消えるわけではありません。そのほかの部位の単純性血管腫については、消えることはありません。
編集部
赤あざにも色々な種類があるのですね。
中野先生
基本的に、赤あざと呼ばれる血管腫は良性なので、かなり大きい場合を除けば健康状態に影響を及ぼすことはありません。いちご状血管腫は自然消退するものがある一方で跡が残るケースも多く、単純性血管腫は基本的に待っても消えることはありません。そのため、まずは専門の医療機関で診断を受けて、適切な処置の開始をおすすめします。
※この記事はMedical DOCにて<乳児の赤あざ「放置でOK」は時代遅れ? 早めに治療すべきワケを医師が解説!>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
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