課題解決の鍵は「活学」が促す自己理解と問いを持つ力
では、この状況を打開するために、企業や個人は何をすべきでしょうか。並木さんは、その出発点は「社員一人一人が『自分が何者か』を根本から理解すること」だと断言します。
並木さんは、自分を車に例え、「多くの人は自分の“車の構造”を知らないまま、『与えられた道を走れ』と言われている」と指摘します。性能を知らなければ故障し、行き先を知らなければ迷子になります。
ここで、並木さんが提唱する「活学」という学問が、現代の羅針盤となります。活学とは、一言で言えば「実存的虚無感の消し方が分かる学問」だということです。
活学が扱うのは、「なぜ人は働くのか」「自分はどう生きたいのか」「幸せとは何か」といった、極めて本質的で実存的な問いであり、この学問には明確な「答え」は書かれていません。読者が自ら問いと向き合い、自分なりの答えを見つけるための「考え方」が提示されています。
AIにより知識へのアクセスが容易になった今、「知っていること」の価値は相対的に下がり、「それをどう意味づけるか」「自分はどう生かすか」という「問いを持つ力」が最も求められる時代へとシフトしました。AIには「意味づけ」や「価値判断」ができないからです。
だからこそ、自己理解を深め、自分の価値観を言語化し、それを社会や組織の中でどう位置付けるかという、人間の本質的な役割が活学の核心となります。
活学と成熟社会経営の融合が、組織の未来を創る
並木さんは、企業が抱える多くの人的課題は、活学を経営に取り入れることで根本解決に向かうと確信しています。
スキル研修や制度改革といった“外部からのアプローチ”だけでは限界があります。真に重要なのは、社員一人一人が「自分は何者か」を理解し、その上で自律的に行動できるかどうかです。
並木さんは「『成熟社会経営と活学の融合』こそが、今後の組織のしなやかな競争力の源泉になる」と主張します。
企業の成長は、社員一人一人の「生きる力」の総和に他なりません。だからこそ、社員が“自分という車”の構造を理解し、その車にとって最適な道を走れるよう支援することが、企業として最も重要な役割となるのです。
その出発点は、「自分はなぜ働くのか?」「どんな人生を望むのか?」という「問い」です。この問いと向き合うことなくして、活気ある組織も持続可能なキャリアも築くことはできません。
並木さんが「活学」を通じて私たちに伝える究極のメッセージは、変革の起点は常に「自分自身の内なる問い」に他ならないという揺るぎない真実です。
真に“生きる”人生とは、自らの存在に確固たる意味を与え、他者や社会との対話の中で、独自の価値を創造していく自立した営みです。誰かに与えられるのを待つのではなく、自らの手で掘り起こし、育んでいくものです。
激しく変化する成熟社会において、自分軸でしなやかに生きることを選ぶなら、「活学」は、ビジネスの未来そのものを考えるための「最重要テーマ」となるはずです。
