Q熱の治療
Q熱患者の多くは自然治癒しますが、症状のある期間を短縮したり重症化を予防するために抗菌薬治療をします。
第一選択薬はドキシサイクリンであり、通常は2週間程度投与されます(参考文献1, 2)。Q熱、特に心内膜炎の治療は長期にわたり、ドキシサイクリンとヒドロキシクロロキンの併用が長期間必要になります (参考文献1)。
Q熱になりやすい人・予防の方法
Q熱に感染しやすいのは、畜産従事者、獣医師、屠殺場の作業員、研究所で家畜や細菌を扱う人など、動物やその排泄物に接触する機会の多い人です。予防の基本は、感染源となる動物や環境との接触を最小限にすることで、次のような予防策が基本です。
出産や流産に立ち会う場合は防護具を着用する
動物の胎盤や羊水は適切に廃棄処理する
家畜舎の換気・清掃を徹底する
海外に渡航した際に牛やヤギのミルクを生で提供されることがあるかもしれませんが、これを口にすることも感染リスクになります。Q熱に限りませんが、渡航先では口にするものが適切な衛生管理がなされたものか注意するようにしてください。
慢性Q熱の発症リスクが高いのは心臓弁膜症の既往がある人や、大動脈置換術を受けたことがある人です。慢性Q熱の致死率は1~2割程度あるので、これらのリスク因子がある人は特に注意してください。
妊娠中の感染が流産、死産、早産、低出生体重に関連する場合があります。妊娠中に海外旅行をする場合にも注意してください。
なお、Q熱に対するワクチンは海外の一部地域では接種可能ですが、日本では利用できません。
参考文献
一般社団法人 日本感染症学会. 症状からアプローチする感染症クイックリファレンス 15 Q熱 (Coxiella burnetii感染症).最終更新 2025.04.13
CDC. Q fever.(last reviewed 17.08.2025)

