「悪性末梢神経鞘腫瘍」になりやすい人の特徴をご存じですか? 予防法を併せて医師が解説

「悪性末梢神経鞘腫瘍」になりやすい人の特徴をご存じですか? 予防法を併せて医師が解説

悪性末梢神経鞘腫の治療

手術での腫瘍切除を基本として、放射線治療や化学療法を組み合わせて治療します。
手術での治癒の可能性を高めるために腫瘍から十分距離をとって切除しようとすると、四肢原発の場合には手足を失うことになったり、関節機能が大きく損なわれる場合があるほか、腫瘍の原発部位によっては広範囲の切除が不可能な場合もあります (参考文献 1) 。

手術の他には腫瘍に対して強い放射線をあてる放射線治療や、抗腫瘍薬を使う化学療法を組み合わせて、患者さん個人個人の病気の進行度や、もともとの体力に合わせた治療を組み合わせていきます。

悪性末梢神経鞘腫になりやすい人・予防の方法

悪性末梢神経鞘腫になりやすい人はNF1の患者と、小児期にがん治療を受けていた方です。
NF1患者の悪性末梢神経鞘腫発症リスクは 8〜13% と言われており、これは一般集団の発症率と比較して1万倍です。悪性末梢神経鞘腫患者の半分程度は NF1 患者であるとされており、最も大きなリスク因子です (参考文献 2) 。
小児がん生存者における発症率は一般集団の40倍程度とされています。放射線療法の10-20年後に悪性末梢神経鞘腫を発症することもあります。

悪性末梢神経鞘腫の治療成績は、外科治療やそのほかの治療法が発達した今日でも良好とは言えません。コントロール不良になるリスク因子としては、腫瘍の大きさが 5 cm 以上であること、リンパ節や他の臓器に転移があることなどが知られています (参考文献 1) 。治癒・腫瘍の良好なコントロールをするためには早期発見が重要と言えるでしょう。

悪性末梢神経鞘腫の発症リスクに当てはまる項目がある場合には、定期受診を欠かさないことや、先述のような症状があった場合には直ぐにかかりつけの医療機関を受診することが、早期発見・重症化予防に繋がります。



参考文献

Gilchrist JM et al. Peripheral nerve tumors. UpToDate. Oct 27, 2023

PathologyOutlines.com. Malignant Peripheral Nerve Sheath Tumor.Accessed April 27, 2025.

配信元: Medical DOC

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