血糖値と血圧が高い人は「認知症」リスクが1.5~2倍! 脳が老けるNG習慣とは

血糖値と血圧が高い人は「認知症」リスクが1.5~2倍! 脳が老けるNG習慣とは

認知症の発症には、遺伝的要因や既往歴などの医学的要因も重要な役割を果たしています。APOE遺伝子などの感受性遺伝子は発症リスクに影響しますが、環境要因との相互作用が重要です。また、糖尿病や高血圧、脂質異常症、心房細動などの併存疾患も認知症の発症リスクを高めることが知られています。遺伝的要因は変更できないため、これらの要因を持つ方はより積極的な予防策を講じることが推奨されます。ここでは、遺伝的素因の影響と併存疾患の管理の重要性について解説します。

伊藤 たえ

監修医師:
伊藤 たえ(医師)

浜松医科大学医学部卒業。浜松医科大学医学部附属病院初期研修。東京都の総合病院脳神経外科、菅原脳神経外科クリニックなどを経て赤坂パークビル脳神経外科菅原クリニック東京脳ドックの院長に就任。日本脳神経外科学会専門医、日本脳卒中学会専門医、日本脳ドック学会認定医。

認知症の遺伝的・医学的リスクファクター

認知症の発症には、遺伝的要因や既往歴などの医学的要因も重要な役割を果たしています。これらの要因を理解することで、より個別化された予防戦略を立てることが可能になります。

遺伝的素因の影響

認知症の遺伝的要因については、家族性アルツハイマー病のような稀な遺伝性疾患と、より一般的な遺伝的感受性の2つの側面があります。家族性アルツハイマー病は全アルツハイマー病の5%未満と稀ですが、特定の遺伝子変異により発症します。
より一般的なのは、APOE遺伝子などの感受性遺伝子の影響です。APOE4遺伝子を1個持つ方は、アルツハイマー病の発症リスクが3~4倍、2個持つ方は12倍以上高くなることが知られています。ただし、この遺伝子を持っていても必ず発症するわけではなく、環境要因との相互作用が重要な役割を果たします。
家族歴も重要な要因で、両親や兄弟姉妹に認知症の方がいる場合、発症リスクが高くなることが示されています。ただし、家族歴がある場合でも、適切な生活習慣の維持により、リスクを軽減することが可能です。
遺伝的要因は変更できないため、これらの要因を持つ方は、より積極的な予防策を講じることが推奨されます。定期的な健康チェック、生活習慣の改善、認知トレーニングなどにより、遺伝的リスクを軽減することが期待できます。

併存疾患の影響

認知症の発症リスクには、さまざまな併存疾患が関与しています。特に重要なのは、糖尿病、高血圧、脂質異常症、心房細動などの生活習慣病や循環器疾患です。
糖尿病は、血管性認知症だけでなく、アルツハイマー病のリスクも高めることが知られています。高血糖状態は脳血管を損傷し、また、インスリン抵抗性が脳内のアミロイドβ蛋白の蓄積を促進することが示されています。糖尿病の方の認知症発症リスクは、健常者の1.5~2倍程度高いとされています。
高血圧は、脳小血管病変を引き起こし、血管性認知症の主要な原因となります。また、中年期の高血圧は、老年期のアルツハイマー病のリスクも高めることが報告されています。適切な血圧管理により、これらのリスクを軽減することが可能です。
心房細動などの心疾患は、脳梗塞のリスクを高め、血管性認知症の原因となります。また、心機能の低下により脳血流が減少し、認知機能の低下を招くことがあります。
これらの併存疾患の適切な管理は、認知症の予防において極めて重要です。定期的な健康診断、薬物療法の遵守、生活習慣の改善により、これらの疾患をコントロールすることが認知症予防につながります。

まとめ

認知症は誰にでも起こり得る疾患ですが、予兆の早期発見、適切な予防策の実践、そして理解に基づく対応により、その影響を軽減することが可能です。記憶や言語、行動の変化に注意を払い、運動や栄養、社会参加を通じた予防に取り組むことが重要です。また、認知症の方の言語パターンや表現を理解し、共感的なコミュニケーションを心がけることで、よりよい生活の質を維持できるでしょう。

参考文献

厚生労働省 – 認知症施策

国立長寿医療研究センター – 認知症情報ポータル

日本神経学会 認知症疾患診療ガイドライン2017

配信元: Medical DOC

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