義母の嫌味が子どもの前でも続き、ついに口論となった麻衣。子どもたちを泣かせてしまい、家庭内の空気は一気に重くなっていく。関係修復の糸口が見えぬまま、麻衣の心には疲労と怒りが募っていた。
張りつめた家の空気
義母との口論で子どもたちを泣かせてしまって以降、家庭内は常にどんよりとした空気が漂っていた。子どもたちも以前のような快活さがなくなり、私や義母の顔色を窺っているように感じる。
「最近、何かあった?」
ある日の夜、寝室で夫が私に聞いてきた。
「何かって?」
以前夫に相談した時の恨みが残っていたのか、またはただの憂さ晴らしか、私はつい刺々しい返答をしてしまった。
「あ、いやさ、なんとなく雰囲気が重いというか。子どもたちもやけに静かだし」
どちらかというと鈍感気味な夫ですら、家庭内の雰囲気の変化に気づいていた。私は良いきっかけだと思い、先日子どもたちの前で義母と口論になったこと、そして子どもたちを泣かせてしまったことを話した。
「そうだったんだ……やっぱり、前言ってたおふくろの嫌味が原因?」
「……そう。嫌味どころか、私を下げるようなことを子どもたちの前で言われて……」
「そこまで?どんなこと言われたの?」
ことの重大さに気づいたのか、以前と違って夫は親身に私の話に耳を傾けてくれた。義母のことについて、ずっと一人で抱えてきた私にとって、夫が親身になってくれたことは何よりの救いだった。
「話は大体分かった。俺からおふくろに一言言っとく?」
「いや、却って刺激するだけだと思うしまだ良いかな。その時はまた相談させて。ありがと」
夫に困りごとを共有できたこと、理解者ができたことで、私は気持ち的に少し余裕ができたように感じた。
理不尽な請求
翌日。義母が外出して帰りが遅かったため、子どもたちと早めに夕飯や入浴を済ませていた。子どもたちが寝室に入り、私が残りの家事をしているところに義母が帰ってきた。この前の口論以降、子どもたちの前で嫌味を言うことは無くなったものの、送られる視線は以前にも増して冷たいものになっているのを感じていた。
「麻衣さん。話があるんだけど」
ぶっきらぼうに義母が言い放つ。私も淡々と反応する。
「はい、なんでしょう?」
「今月の電気代、高かったから追加で出して。金額は1万2千円」
同居してから、月の生活費の管理は義母が担ってくれていた。私たち夫婦は義母に生活費を納めていたが、いくら電気代が高かったといえど、今回の請求はあまりにも不可解だった。
「追加の金額ですよね?高過ぎないですか?」
「仕方ないじゃない。電気代が値上がりしてるんだし、それだけ使ってしまってるんだから」
「そうですか。そしたら、今月の電気代の請求額を見せてください。その金額を見た上で直哉と相談しますから」
「別に見せてもいいけど、妥当な金額をお願いしてるの。疑われるのは侵害だわ」
ああ言えばこう言う状態ではぐらかす義母。私たちも生活に余裕があるわけではないため、簡単に受け入れるわけにもいかず、義母の不遜な態度にも憤り、私もつい喧嘩腰になってしまった。
「この前の口論の当てつけか何かですか?」
「え?何を言ってるの?そんなこと言うなんて、そっちの方が根に持ってるんじゃないの?」
静かな嫌味の応酬をしていると、そこに夫が帰ってきた。それをきっかけに睨み合いは終わったが、ただならぬ雰囲気に夫は困り顔を浮かべていた。
その夜、私は夫に義母からの電気代の追加請求の話をした。お金が絡んでくる話だからと後日、改めて二人で義母に確認しようと言ってくれた。

