肺がんは、早期発見が難しいため、症状が現れたときには進行していることが多い病気です。
本記事では、肺がんの症状や治療法について解説していきます。また、ステージ別の生存率についても詳しく解説します。
気になる症状がある方は早めに医療機関を受診しましょう。

監修医師:
松本 学(きだ呼吸器・リハビリクリニック)
兵庫医科大学医学部卒業 。専門は呼吸器外科・内科・呼吸器リハビリテーション科。現在は「きだ呼吸器・リハビリクリニック」院長。日本外科学会専門医。日本医師会認定産業医。
肺がんとは?
肺がんは、気管支や肺胞の細胞が何らかの原因でがん化したものです。肺がんの治療法は、がんの組織型(種類)によって大きく異なります。肺がんの主な種類は次の4つです。
腺がん
扁平上皮がん
小細胞がん
大細胞がん
咳や痰が原因不明で2週間以上続く・血痰が見られる・発熱が5日以上続く場合は、早めに医療機関を受診することが重要です。肺がんは遠隔転移を起こしやすく、主な転移先としては肺・脳・骨・肝臓・副腎などが挙げられます。
どの組織型の肺がんでも、喫煙が発生要因の1つとされています。特に扁平上皮がんや小細胞がんは喫煙との関連が強いですが、喫煙経験がない人でも肺がんを発症する可能性があるため、注意が必要です。
肺がんのステージ別生存率
がんの治療成績を示す指標の一つに生存率があります。がん治療の成果を評価する際には、診断から5年後の生存率、いわゆる5年生存率がよく用いられます。
以下に示すのは、国立がん研究センターがん対策研究所がん登録センターが公表した、院内がん登録に基づく生存率です。この生存率は、死因を問わずすべての死亡を含めた生存率を示しています。
ステージ1の生存率
5年生存率は74.0%です。この段階は、がんが肺内にとどまり、リンパ節やほかの臓器への転移がない状態を指します。
ステージ2の生存率
5年生存率は46.2%です。この段階は、がんが肺内にとどまり、同側の肺門リンパ節に転移しているものの、ほかの臓器への転移は見られない状態を指します。
ステージ3の生存率
5年生存率は26.6%で、4人に1人は肺がんと診断されています。この段階は、がんが肺を越えて隣接する臓器に浸潤しているか、縦隔リンパ節に転移しているもののほかの臓器への転移は見られない状態です。これらのいずれかの状態であれば、ステージ3とされます。
1年生存率だと69.3%となっており、一つ手前のステージであるステージ2の1年生存率と比べると15%程度低くなっています。
ステージ4の生存率
5年生存率は7.4%です。この段階は、がんが肺だけでなく、脳・肝臓・骨・副腎などほかの臓器にも転移している状態です。肺がんの治療は進歩しており、手術の成績も向上しています。しかし、進行したステージの5年生存率は早期の患者さんに比べて低く、治療はかなり難しいです。
1年生存率でも39.1%と、ステージ3の1年生存率と比べても半分程度まで落ち込んでいます。がんの治療において、いかに早期発見・早期治療が重要かわかる指標の一つになっています。

