飛蚊症が日常生活に与える影響は、症状の程度や個人の感受性によって大きく異なります。読書や運転、スポーツなど、具体的な場面でどのような支障が生じうるのか、また心理面への影響についても理解を深めていきましょう。

監修医師:
柳 靖雄(医師)
東京大学医学部卒業。その後、東京大学大学院修了、東京大学医学部眼科学教室講師、デューク・シンガポール国立大学医学部准教授、旭川医科大学眼科学教室教授を務める。現在は横浜市立大学視覚再生外科学教室客員教授、東京都葛飾区に位置する「お花茶屋眼科」院長、「DeepEyeVision株式会社」取締役。医学博士、日本眼科学会専門医。
飛蚊症と視覚への影響
飛蚊症が日常生活に与える影響は個人差が大きく、症状の程度や患者さんの感受性によって異なります。適切な理解と対処法を知ることが生活の質の向上につながります。
症状の程度や位置によって、日常生活への影響の度合いは大きく変わります。中心視野に症状がある場合は、読書や細かい作業への支障が大きくなる傾向があります。
日常生活への影響
飛蚊症は特に読書や細かい作業を行う際に支障をきたすことがあります。文字を読んでいるときに浮遊物が邪魔になり、集中力の低下や疲労感を引き起こすことがあります。デスクワークを行う方では、パソコン画面を見る際の不快感を訴える場合も多いです。
運転中の症状も重要な問題です。特に明るい日中の運転では、フロントガラス越しに見える空や建物を背景として浮遊物が目立ちやすくなります。安全運転への影響を考慮して、症状が強い場合は適切な対処が必要です。
スポーツや屋外活動でも症状の影響が現れることがあります。球技では飛んでくるボールを追う際に浮遊物が邪魔になったり、ゴルフなどの集中力を要するスポーツでは症状が気になって集中できなくなったりすることがあります。
家事や料理などの日常的な活動でも、症状により不便を感じる方がいます。特に包丁を使う作業や熱い物を扱う際には、視界の邪魔になることで安全面での配慮が必要になる場合があります。
心理的影響と対処法
飛蚊症は身体的な症状だけでなく、心理的な影響も大きな問題となります。突然症状が現れた場合、多くの方が不安を感じます。「失明するのではないか」「重大な病気なのではないか」といった心配から、精神的なストレスを感じることがあります。しかし、ストレス下で症状を意識しやすくなることはあり得ますが、ストレスが飛蚊症自体を発症・増悪させるとは断定できません。
まとめ
飛蚊症は多くの方が経験する眼症状ですが、原因や症状の程度は個人により大きく異なります。加齢による生理的変化から重篤な眼疾患まで、さまざまな原因が考えられるため、症状を自己判断せず専門医による適切な診断を受けることが重要です。原因となる疾患に応じた適切な治療を受けることが重要です。
参考文献
黒いものが飛ぶ 飛蚊症(日本眼科学会)目の症状・疾患(厚生労働省)

