歯科医療の進化は目覚ましく、昔と比べてより安全で確実な治療が可能となっています。「サージカルガイド」を用いたインプラント治療もその1つで、デジタル技術を駆使したこの革新的な方法は、インプラント治療の精度と安全性を飛躍的に向上させました。今回はサージカルガイドを使ったインプラント治療のメリット・デメリットなどを、「こばやし歯科クリニック」の小林先生に解説していただきました。

監修歯科医師:
小林 実(こばやし歯科クリニック)
大阪歯科大学卒業。大阪、京都の歯科医院での勤務を経て、「こばやし歯科クリニック」を開院。「美容院に通うような感覚で治療・メンテナンスが受けられる歯科医院」をコンセプトに、快適に通院できる環境づくりに取り組んでいる。日本臨床歯科学会大阪支部相談役。日本顎咬合学会、日本歯科保存学会、日本顕微鏡歯科学会の各会員。
編集部
インプラント治療にサージカルガイドを用いると、どのようなメリットがありますか?
小林先生
インプラント治療の精度が向上することで、手術によるダメージを最小限に抑えられるほか、神経や血管を傷つけるリスクも回避できます。さらに、手術時間が短縮できるのも、患者さんにとっては大きなメリットでしょう。
編集部
サージカルガイドを使うと、なぜ手術時間が短縮できるのですか?
小林先生
インプラントの正確な位置があらかじめ決定しているため、手術中の確認作業を簡略化することができます。例えば、従来の治療では手術中に何度かレントゲンをとって、位置を確認する作業が必要でした。しかし、サージカルガイドを使うとこの作業が不要となるため、結果的にトータルの手術時間が短くなり、患者さんの負担も軽減されるのです。
編集部
サージカルガイドを使用することによるデメリットはありますか?
小林先生
サージカルガイドにもいくつかのデメリットがあり、その1つが費用です。データの処理やガイドの製作に別途費用がかかるため、従来よりも治療費が高くなる可能性があります。もう1つは、精度の問題です。サージカルガイドを作製するにあたっては、事前に入手した患者さんのデータの整合性が非常に重要で、ここにズレが生じてしまうと治療全体の精度が落ちてしまいます。そのため、ガイドの作製時はその精度に十分に注意を払わなければなりません。
編集部
そのほかに、デメリットはありますか?
小林先生
サージカルガイドは、全ての歯科医院や技工所で取り扱っているわけではありません。患者さんが希望しても、歯科医院や提携している技工所によっては、サージカルガイドを使った手術ができない場合があるため、事前によく確認しておきましょう。
※この記事はMedical DOCにて<インプラント治療で「サージカルガイド」を使うメリット・デメリットを歯科医が解説!>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
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