“子どもが20歳になったら離婚したい母親”に賛否。「ワガママ」「子どもがかわいそう」の批判が的外れなワケ|ドラマ『小さい頃は、神様がいて』

“子どもが20歳になったら離婚したい母親”に賛否。「ワガママ」「子どもがかわいそう」の批判が的外れなワケ|ドラマ『小さい頃は、神様がいて』

「離婚したい」「逃げ出したい」と思う自由

 こうした批判が出てくる背景としては、やはり離婚願望を持つには、それ相応の決定的な理由がほしいのだろう。先述の通り、渉は浮気もDVもしていないのだから、納得できない人が一定数いるのかもしれない。言い換えれば、あんのように抽象的な理由では、なかなかその人たちの賛同を得られないのだと思う。

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 とはいえ、理由があろうとなかろうと、離婚願望を持つことは個人の自由ではないか。家族のことが嫌いではない、むしろ好きであっても、今の生活や役割から逃げ出したいという思いを抱くのは決して特別なことではない。しかし、浮気やDVといった被害に遭っていない場合、離婚願望を持つことは“後ろめたいこと”とされがちだ。

 あんは離婚の約束を胸に約20年呼吸をしてきたが、実際に離婚するかどうかは別として、「離婚」という希望が支えになるケースは決して珍しくない。親が抱える言語化の難しい葛藤を、あんのセリフや表情から丁寧に描写し続けている本作ではあるが、「離婚願望は誰でも持っていい」というメッセージも示しているように感じた。

 あんという1人の母親が、1人の人間としてどのように歩き始めるのかを、今後見届けたい。

<文/望月悠木>

【望月悠木】
フリーライター。社会問題やエンタメ、グルメなど幅広い記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。X(旧Twitter):@mochizukiyuuki



配信元: 女子SPA!

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