マチアプの一般化とネットで特定されるリスク
また、お見合いサービスやマッチングアプリが一般化してきたこともあげられます。アプリなどの出会いに抵抗がない男女が増え、テレビのお見合い番組に頼らずとも気軽に婚活できるようになったことも地上波お見合い番組が減った要因としてひとつあるでしょう。
顔や名前、年齢、素性が全国にさらされることは、目立ちたいという意識の人でない限り抵抗感が強いものです。しかも現在は、ネットなどで個人特定のリスクが高くなっています。結婚というライフイベントに真面目に向かおうとする姿が、テレビのフィルターを通して曲解され、炎上したりネットのおもちゃになってしまうこともあるでしょう。
まだネットの広まりが今ほどではなかった時代の『お見合い大作戦』でも、そんな事例が少なからずありました。
時代遅れ感のある、熱心な男女への“出演者イジリ”
もうひとつの理由としては、“出演者イジリ”中心の演出の時代遅れ感です。婚活をテーマにした番組は、建前上は「結婚に向かう男女のリアルドキュメンタリー」「結婚を応援する」などという前向きなテーマであることが多いですが、結果的に、熱心に婚活する男女をバカにしたり、冷笑するエンタメになっている部分があります。
この後よる8時55分からは『マツコの知らない世界 大反響!婚活の世界▼最激戦区30代をあの名物親子が鬼指導!』。@tbsmatsukosekai
— TBS (@tbs_pr) July 8, 2025
カリスマ毒舌プロ・植草親子が再び襲来!【婚活最激戦区・30代編】30代女性に2つの壁!?植草流ヘアメイク術で大変身の男…#tbs pic.twitter.com/heaVcSYM3Q
かつてテレビに出た素人の方々は、意図しないとりあげられ方をしても、直接抗議あるいは泣き寝入りするしかありませんでした。しかし、今ほどSNSやネットで広く自分の思いが表現できるようになり、少しでも制作者に不義理があると、広く拡散される時代になりました。
このように参加者側、制作側、双方にリスクが生じることが、新規の婚活番組制作に局側が及び腰となっている理由なのかもしれません。思えば『マツコの知らない世界』(TBS系)の婚活の世界に出演する婚活希望者は、番組内でも出演者が「エキストラ事務所に所属」旨の注釈があります。

