「壊死性筋膜炎」の進行度は早い?予防法も医師が解説!

「壊死性筋膜炎」の進行度は早い?予防法も医師が解説!

壊死性筋膜炎という病気をあまり聞いたことがないという人が多いでしょう。

壊死性筋膜炎は数時間〜数⽇の間で急速に進⾏し、適切な治療が⾏われなければ命に関わる重症感染症です。

これと似た病気で蜂窩織炎がありますが、どちらも皮膚が赤く熱感を持つためそのような自覚症状があった場合には早急な治療が必要になります。

本記事では、壊死性筋膜炎の予防法などを解説します。

※この記事はメディカルドックにて『「壊死性筋膜炎」は命に関わる?気になる原因や症状を医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

郷 正憲

監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)

徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。

壊死性筋膜炎の進行と致死率

太ももを抑える女性

発症した場合、進行は早いのでしょうか?

壊死性筋膜炎を発症した場合、症状の進行はとても早いです。壊死するスピードが1時間に2mmととてつもない早さのため、どれだけ早く診断をつけ治療に進めるかが予後を大きく左右します。
糖尿病だけでなく、手術や化学療法で免疫が落ちている人、ステロイドを内服している人は特に感染しやすいため注意が必要です。
もし外傷の後などで皮膚の紅斑や局所の疼痛など、当てはまる症状があった場合には直ちに皮膚科で受診しましょう。

致死率が高いと聞きましたが…。

壊死性筋膜炎は早期診断・早期治療がとても重要で、治療が遅れてしまうと播種性血管内凝固症候群・多臓器不全・敗血症性ショックになりやすくなります。そして致死率は30〜43%と高く、1971〜1987年の国内73例の致死率は47.2%となっています。
一方アメリカでの1998年〜2010年の統計では、致死率はこの12年間に9.0%から4.9%に低下したというデータもありますが、やはり致死率は高いといえるでしょう。

予防する方法を教えてください。

壊死性筋膜炎は、糖尿病・術後・免疫不全・化学療法中・ステロイド内服中など免疫力が低下している人が発症しやすい病気です。
糖尿病の人は内服・インスリンを使って症状をしっかりとコントロールすることが重要です。また基礎疾患を持っていない人でも罹患する可能性があるため、外傷の対処を正しく行うことである程度予防することができます。
出血や滲出液が出ている部位はしっかりと水で洗い流した後に清潔なガーゼで保護することが大切です。また火傷やちょっとした傷でもすぐに処置し、皮膚に傷がある時はプールや海に入らないようにすることで、ある程度予防することができます。
創傷部位を毎日観察し、必要な時には皮膚科で受診してください。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

壊死性筋膜炎は症状の進行スピードが早く、1分1秒でも早く治療をしなければ最悪命を落とす場合があるため注意が必要な病気です。
治療期間も長く数ヶ月を要し、広範囲で皮膚や組織を切除するため心身へのダメージも大きいでしょう。基礎疾患がない健常者の人でも傷の処置を怠ってしまうと罹患する可能性があります。
壊死性筋膜炎に罹らないようにするためにも日頃から傷の処置には注意が必要です。また免疫力が落ちている術後や化学療法中の人は、感染予防をしっかりと行いましょう。
少しでも当てはまる症状があったら早めに医療機関で受診してください。

編集部まとめ

炎症を起こした太もも
ここまで壊死性筋膜炎の病態・症状・治療法などについて解説しました。壊死性筋膜炎は、発症する確率は低いですが、発症すると命に関わるため注意が必要な病気です。

皮膚の紅斑や局所の疼痛だと蜂窩織炎のように違う病気の可能性もありますが、どの病気であっても早期に診断・治療することが重要です。

発症予防のために正しい傷の対処法を知り、基礎疾患のコントロールをしっかり行いましょう。気になることがあれば早めに医療機関で受診してください。

参考文献

壊死性筋膜炎(日本救急医学会)

糖尿病と感染症のはなし(国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター)

配信元: Medical DOC

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