祖母の衰弱が進むなか、婚約者の俊介からのプロポーズを報告し、束の間の笑顔を取り戻した家族。しかし従姉妹・彩花との関係は決定的に悪化し、祖母の最期にも立ち会えなかった──。
静かに冷えていく家族関係
弱っていく祖母に、みんなで寄り添いたい──そんな私の願いとは裏腹に、私たちと叔母家族の関係は冷え込んでいた。以前まで楽しそうに叔母と長電話していた母の姿はなくなり、もはや怒声を上げることすらなくなった。
私と従姉妹の彩花の関係も同様で、通話の機会はめっきりなくなり、チャットのやりとりのみになっていた。その内容も良くて淡々とした文章、悪いとチクチクとした嫌味が織り交ぜられていた。
そんな家族間の不和を知る由もない祖母は、訪れる度に私たちと叔母家族への感謝や思い出話を話してくれる。そのことが逆に、それぞれの家族が祖母を思って行動しているのに、分かり合えていないことを突きつけているようで胸が痛かった。
介護資金と、募る違和感
波風はないけど家族間の緊張状態が続く中、久しぶりに彩花からの着信があった。
「もしもし、美咲。ちょっと相談なんだけど」
「……うん、どうした?」
彩花からの相談は介護資金についてのことだった。彩花のお父さんの持病にかかる医療費がかさみ、翌月分の介護資金を出すのが難しいかもしれない――そんな相談だった。
「……そうなんだ。いくら足りないの?」
私は祖母に不自由な思いはさせまいと、それ以上は聞かずに足りない分の介護資金を補填した。その後も度々、何かにつけて彩花から介護資金不足の相談を受けた。私はモヤモヤが残るものの、祖母のためと思い切り、補填を申し出続けた。

