CT検査とMRI検査で見つかる病気とは?メディカルドック監修医が解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「CT検査とMRI検査の違い」とは?見つかる病気やメリットも解説!【医師監修】』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
木村 香菜(医師)
名古屋大学医学部卒業。初期臨床研修修了後、大学病院や、がんセンターなどで放射線科一般・治療分野で勤務。その後、行政機関で、感染症対策等主査としても勤務。その際には、新型コロナウイルス感染症にも対応。現在は、主に健診クリニックで、人間ドックや健康診断の診察や説明、生活習慣指導を担当している。また放射線治療医として、がん治療にも携わっている。放射線治療専門医、日本医師会認定産業医。
CT検査とMRI検査の違いとは?
CT検査とMRI検査は、レントゲン検査のように、がんをはじめとするさまざまな病気に対する画像検査の方法となります。健康診断でも用いられることもあります。
しかし、これらの違いや、どっちがいいのか、あるいは両方受ける方がいいのか、といった疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。
そこで、今回の記事では、CTと MRIの違いをわかりやすく解説していきます。
まずは、それぞれの検査の違いについて、簡単に述べます。
CT(Computed Tomography)X線を使用し、体の断面を撮影します。撮影時間が短く(5~20分)、骨や肺の撮影に適しています。肺がん、肺炎、心疾患、肝臓疾患などの診断に用いられます。また、頭蓋骨骨折などの骨折の診断や、尿路結石といったカルシウムが豊富な病変の検出にも有効です。
空間分解能に優れており、異なる二つの点を識別できる最小の距離がとても小さいことが特徴です。 MRI(Magnetic Resonance Imaging)
強い磁場と電磁波を使用し、水素原子の共鳴を利用して体の断面を撮影します。
高解像度の画像を提供することが可能です。撮影時間が長く(20~60分)、閉所恐怖症の人には不向きという欠点もあります。
MRIは高い組織分解能を持ちます。すなわち、異なる組織のコントラストや特性を識別できる能力が高いのです。高い組織分解能は、微細な組織の違いや病変をより明確に描写できることを意味します。これにより、腫瘍や異常組織の検出が正確になり、診断の精度が向上します。
MRIは特に高い組織分解能を持ち、軟部組織の詳細な評価に優れています。
そのため、脳、脊髄、子宮や卵巣といった婦人科系の臓器の撮影に適しています。
卵巣腫瘍などで良性か悪性かの鑑別をしたい場合にも信号の違いによって予測をつけることが可能です。
検査 CT MRI
使用原理 X線 磁場と電磁波
撮影時間 5~20分 20~60分
適用部位 肺、心臓、肝臓 脳、脊髄、子宮や卵巣
メリット 短時間で撮影可能、肺や骨の撮影に有効 高解像度画像、骨に囲まれた部位の撮影に有効
デメリット エックス線被爆がある、骨や金属に囲まれた場所は不向き 撮影時間が長い、閉所恐怖症の人には不向き、刺青などでMRI撮影ができない人がいる
CT検査でわかる病気・疾患は?
ここではMedical DOC監修医がCT検査でわかる病気・疾患について解説します。
肺がん
肺がんは、肺の組織に発生する悪性腫瘍で、主な原因は喫煙、職業性曝露、空気汚染などです。
CTスキャンでは、肺がんは異常な塊や結節として映ります。肺がんの種類によっても画像の所見は変わりますが、一般的にはトゲトゲとした形の塊は悪性のものを疑います。
CTは肺がんの早期発見やステージングに非常に有効です。
治療法には手術、放射線治療、化学療法、免疫療法があります。治療はがんの種類とステージにより異なります。
持続する咳、血痰、体重減少、息切れなどの症状がある場合、早期に医療機関を受診するべきです。
呼吸器内科をまずは受診しましょう。
気胸
気胸は、肺の一部が破れて空気が胸腔に漏れ出すことで、肺が部分的または完全にしぼむ状態です。主な原因は外傷、肺疾患、自然発生(特に若年痩せ型男性に多い)です。
CTスキャンでは、空気が胸腔内に溜まり、肺がしぼんでいる様子が詳細に映ります。
健康診断などの胸部レントゲンで見つかる場合もあります。しかし、CTスキャンではレントゲンよりも正確で、小さな気胸や原因となる肺の異常も検出可能です。
治療法には、自然に回復を待つ方法、酸素療法、胸腔ドレナージ、手術などがあります。治療法は症状の重さによります。
突然の胸痛、呼吸困難がある場合、早急に医療機関を受診する必要があります。
呼吸器内科または胸部外科を受診します。
尿路結石
尿路結石は、腎臓や尿管に結石ができる病気です。主な原因は水分摂取不足、高カルシウム血症、遺伝的要因などです。
CTスキャンでは、結石は高密度の白い点として映ります。CTは結石の位置や大きさを正確に特定するのに非常に有効です。例え尿路結石が見つからなくても、尿路結石がある部分より腎臓側の尿管が拡張(かくちょう:ひろがっていること)していることで、結石を疑うこともできます。
療法には、自然排出の促進、薬物療法、衝撃波砕石術、内視鏡手術などがあります。治療は結石の大きさや位置によります。
強い腰痛、血尿、排尿困難などの症状がある場合、早急に医療機関を受診するべきです。
症状がある場合には、泌尿器科を受診します。

