動脈硬化をすぐに治療した方がよいケース

健康診断でどのような結果が出たら受診すべきですか?
上述したとおり、生活習慣病は動脈硬化の危険因子です。生活習慣病は自覚症状に乏しく、健康診断で発見されることが多いです。高血圧、糖尿病、脂質異常症のいずれかが指摘された場合には、医療機関を受診し、検査や治療を受けることが推奨されます。そのほかには、健康診断における心臓超音波検査やCT、MRIなどの検査で動脈硬化が疑われる場合も、進行を抑制することが求められますので、受診すべきです。
食事や生活習慣の改善だけでは動脈硬化による疾患の発症を抑えられないケースを教えてください
動脈硬化の予防には、食事や運動、禁煙といった生活習慣の改善が重要ですが、それだけでは十分に抑えられない場合があります。例えば、1型糖尿病は生活習慣ではなく、自己免疫の異常により膵臓のインスリンを分泌する細胞が破壊される病気です。1型糖尿病では、若年時から動脈硬化が進展していると報告されています。治療はインスリン療法が不可欠になるため、食事や生活習慣の改善では動脈硬化の進行を抑制することはできません。
そのほかには、家族性高コレステロール血症のように、遺伝的な要因で悪玉コレステロールが異常に高くなる病気もあります。この病気では、適切な生活習慣も大切ですが、それだけではコントロールすることは困難であり、悪玉コレステロールを下げる薬剤(主にスタチン系薬)が必要になります。
病院では動脈硬化をどのように治療しますか?
病院では、動脈硬化の原因に応じて治療法が選択されます。食事や生活習慣の改善に加え、原因に応じた薬剤の使用が検討されます。また、すでに動脈硬化が進展しており、血管の狭窄が起きている場合には、カテーテルを用いて血管を広げる治療が行われることもあります。
編集部まとめ

動脈硬化は加齢により誰にでも起こる血管の変化ですが、生活習慣病が重なることで進行が早まります。将来の大きな病気を防ぐために、進行する前の予防が肝心になります。食事や運動が基本になりますが、進行している場合には、薬剤やカテーテル治療が行われることもあります。今日から実践できる内容もありますので、ぜひ本記事をきっかけに、生活習慣を見直してみてください。
参考文献
「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」
動脈硬化と脂質異常症

