母でありたいだけなのに……
保護者競技のプログラムも無事終了し、お昼休憩のアナウンスが入った。子どもたちは待機場所から親御さんと手を繋いでそれぞれのレジャーシートに戻っていく。移動する人波の中、遠目に義姉と娘の姿が見える。娘は楽しそうに義姉と話しながらこちらへと戻っていた。
義姉を見上げる娘の眼差しが、まるでいつも私に向けているもののようで、義姉に対する激しい嫉妬のような感情が込み上げた。まるで義姉に母親の座を取られたような気分だった。
「ただいま〜!たのしかったー!!」
娘の無邪気で元気な声が家族に広がる。みんなはそれを微笑ましく受け入れているけれど、複雑な心境の私にはその余裕はなかった。義姉への激しい嫉妬や自分への虚しさをなんとか押し殺し、精一杯の笑顔で明るく振る舞った。
お昼休憩が終わり、午後のプログラムが始まった。
「……ちゃん、沙耶ちゃん?」
「……えっ、はい?」
私は義母からの声がけにも反応できないほど、午前中の出来事が尾を引いていた。苦笑いで何とか誤魔化す私。そんな私を見つめる義母の目は、どこか私を見透かしているような、それでいて穏やかな目をしているように思えた。
あとがき:母の心は、誰にも見えない痛み
義姉は悪気があったわけではありません。それでも、母である自分の居場所を奪われたような気がして、沙耶の心は何度もざわつきました。
「子どもにとって一番近い存在でいたい」──そんな当たり前の願いが、少しずつ壊れていく。家族という温かな輪の中で、ひとり冷たい風を感じていたのは、きっと彼女だけでした。
母親の孤独は、いつも静かに笑顔の裏に隠れているのでした。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています
記事作成: tenkyu_writing
(配信元: ママリ)

