「最近足の浮腫が酷い気がする」という人は、もしかしたらネフローゼ症候群かもしれません。
ネフローゼ症候群とは糸球体の炎症でタンパクが漏れ出し、浮腫や体重増加などが出現する病気です。初期症状に気づきにくく、健康診断で判明することもあります。
原因が明確な場合と不明な場合があり、治療が遅れてしまうと透析を導入しなければいけなくなるかもしれません。
本記事では、ネフローゼ症候群の予後などについて解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「ネフローゼ症候群」を発症すると現れる症状・原因はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。
ネフローゼ症候群の予後と注意点

ネフローゼ症候群の経過について教えてください。
巣状分節性糸球体硬化症は4年半の観察にて完全寛解が約7割と微小変化型ネフローゼ症候群よりも予後は不良で、腎移植後は再発に注意が必要です。膜性腎症は巣状分節性糸球体硬化症と同じくらいの寛解率ですが、自然寛解する場合もあります。原発性膜性腎症の再発率は25〜33%です。微小変化型ネフローゼ症候群は90%以上が初期治療にて寛解します。しかし高齢や急性腎不全の合併があると、寛解に対して影響が出る可能性があります。
しかしステロイド減量によって再発する確率も高く、長期で経過観察しなければなりません。またネフローゼ症候群で多い合併症は糖尿病・感染症ですが、比較的予後が良好な微小変化型ネフローゼ症候群が結核・ニューモシツチス肺炎・サイトメガロウイルス感染症などの日和見感染を発症し、大きな死因となっているため感染症予防や早期治療などが非常に重要です。
食事で注意すべき点はありますか?
食事で大きく注意しなければならないのは、タンパク質と塩分です。普段の食事においてタンパク質は非常に重要ですが、高タンパク質食だと糸球体に負担がかかりすぎることで過剰濾過が生じてしまい、腎機能低下の原因となる可能性が指摘されています。ステロイド治療に抵抗性がある難治性ネフローゼ症候群と微小変化型ネフローゼ症候群では、タンパク質制限量が少し異なります。微小変化型ネフローゼ症候群では0.6g/kg/日、難治性ネフローゼ症候群は0.3g/kg/日かもしくは状態によってさらに制限をかける場合もありますが、この摂取量を維持することが大切です。
塩分制限に関しては酷い浮腫が生じている場合、4g未満/日の塩分制限を行います。症状が改善されるようであれば6〜7g/日まで制限を緩和することもありますが、塩分を多く摂りすぎると高血圧にもつながるので、日頃から塩分の過剰摂取には注意しましょう。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
ネフローゼ症候群は明確な理由が不明なので、厳密に予防することが難しい疾患です。しかし糸球体の炎症によって発症していることは間違いないので、腎臓に負担をかけないようにすることが大切です。ストレスや疲労を溜め込みすぎず、塩分やタンパク質の摂取量を控えめにすることは腎臓の負担を減らすことにある程度の効果が期待できます。またロキソニンなどの鎮痛薬を飲みすぎないことも日常生活の注意点として重要です。
治療中の人はステロイド薬や免疫抑制剤を使用するため感染症にも注意しなければなりません。手洗い・うがいなどの感染予防だけでなく、予防接種を受けることも効果的です。肺炎球菌ワクチン・インフルエンザワクチンなどの不活化ワクチンの接種が特に推奨されています。
治療を続けて寛解した場合でもまた再発するリスクがあるため、定期的に検査・観察を続ける必要があります。薬剤の服用は継続しつつ、少しでも体調に異変を感じたらすぐに主治医へ報告しましょう。
編集部まとめ

ここまでネフローゼ症候群について解説しました。ネフローゼ症候群は初期症状に気づきにくく、健康診断で発覚することもあります。
普段よりも浮腫が酷く、尿の泡立ちや体重増加がある場合はネフローゼ症候群かもしれません。体調に異変を感じたら、腎臓内科もしくは泌尿器科へ受診してください。
また明確な原因が分からないため予防することも難しいですが、ストレス・疲労・塩分やタンパク質の過剰摂取は腎臓に負担をかけてしまいます。
腎臓への負担を減らすために、日頃から規則正しい生活を送るよう意識しましょう。
参考文献
一次性ネフローゼ症候群(難病情報センター)

