ブリーフ姿が1770万ビュー 止まらぬ怒りの声
2025年11月1日(土)から始まる早稲田祭のあるイベントが、X(旧ツイッター)上で“大炎上”を巻き起こしています。主催する早稲田大学公認サークル「ザ・ワセダ・ガーディアン」が10月24日に投稿した告知ポストは、1週間で表示回数1770万回超。引用リポスト2500件超・返信300件超のほとんどを批判が占め、「早稲田生が“弱者”を名乗るな」といった怒りの声が相次いでいます。
「弱男祭り2025」。11月1日13時開演予定のイベントです。「早大生5万人の中から選ばれた5人の弱者男性の勇姿を刮目せよ」という添え書きとともに、5人の選抜メンバーがブリーフ一丁姿で夜の大隈行動前でポーズを取っている画像が公開されたのは先述の通り10月24日。2023年の同イベントの再演的位置付けですが、早大の持つ学歴ブランドが逆効果として働いたもようです。
「弱いなら、弱いなりに生きようじゃねえか」というあおり文句も“燃料”となり、X上では「社不(※1)芸キツすぎ」「強者軍団が 弱者男性ごっこ」「ファッションチー牛(※2)博覧会」と、批判から罵詈(ばり)雑言までネガティブ反応が圧倒的大勢。「早稲田の時点で弱男じゃないだろ」「指定校/AO入試だろ?」と学歴マウントと感じたユーザーらがその憤りをあらわにし、また「本物の弱男はこんなイベント出ねえ・行かねえ」「弱者の立ち位置すら奪う文化盗用」「人間の底すらない悪意」と、企画自体が“醜悪”だと厳しく断ずる声も多く上がりました。
一部には「内輪ネタとしてカオスを楽しむわ」と肯定を示す声もありますが、火消しにはほど遠い少数派です。
批判の核心にある「弱者男性」問題とは何か?
なぜ今回、これほどに炎上が拡大したのか。騒動の背景には「弱者男性」という極めてシリアスな社会問題があります。
非モテ・低所得(または無職)・孤立を抱える、いわゆる弱者男性。その数は推定1500万人とも言われています。男性の自殺率は女性の2倍超、引きこもりの過半数は男性とされ、生涯未婚率は女性より10ポイント以上高く、孤独死の男女比は男性が8割超を占める――。政府や地方自治体が近年、女性支援をうたう政策・施策を多く展開している一方で、男性に対するケアや支援は決して十分とは言えないのが現状です。
こうした極めて深刻な問題をはらむ弱者男性について、私学の雄とされる早大の現役学生らが扱うことを「お遊びだ」と捉える批判が少なくないのです。“男は強くあれ”との社会規範がいまだ根強く、苦難を抱える男性の存在が見落とされやすい中、また弱い男性はネタにしてよいという風潮が拭いきれない中で、早大生によるイベント化は“安全圏自虐”と見なされ、本物の絶望を侮辱するものと映っているようです。
イベント主催のザ・ワセダ・ガーディアンは1936(昭和11)年創立の歴史ある公認サークル。LASISA編集部は同会に対して取材依頼のDMを送りましたが、10月31日(金)午前4時までに返信はありませんでした。この間寄せられた批判にどのように応えるのか。開催の意図はイベント内で表現されるのか。本番は明日11月1日に迫っています。
※1:社会不適合者
※2:チーズ牛丼。弱者男性とほぼ同義語的に使われることが多い
(山嵐冬子)

