大東駿介&松尾諭、TOKYO MX開局30年特別番組“生ドラマ”への意気込みを語る「尺が足りなくなったり逆に余ったりしたら、それはその時で」<いいひとりの日>

大東駿介&松尾諭、TOKYO MX開局30年特別番組“生ドラマ”への意気込みを語る「尺が足りなくなったり逆に余ったりしたら、それはその時で」<いいひとりの日>

「いいひとりの日」でW主演を務める松尾諭(左)と大東駿介
「いいひとりの日」でW主演を務める松尾諭(左)と大東駿介 / 撮影/田中隆信

大東駿介&松尾諭が、11月1日(土)に生放送される、「TOKYO MX開局30周年記念 特別生ドラマ『いいひとりの日』」(夜8:00-9:00)にW主演として出演する。同局地上波にとって初の試みとなるこの生ドラマは、情報番組を放送中のTOKYO MXを舞台に、さまざまな人々の感情が入り乱れながら展開するノンストップコメディ。取材時点では、全体の顔合わせも本読みもまだ、という状況で「脚本以上の情報は何も無い」というW主演の大東駿介と松尾諭に、何が起こるかわからない本番への想いやお互いについて、また本作の脚本の執筆もした松尾に初脚本の苦労なども聞いてみた。

■「もう2度と『何やねん、この脚本』と文句は言いません」(松尾)

――今回、松尾さん、脚本を書くのは初めてだったとか。

松尾 はい。小説やエッセイは、自分の感覚で好きなように書けますけど、脚本はいろんな事情を踏まえて、あちこちに気を遣ったりしないといけなくて大変でしたね。制約やしがらみの中で工夫するのが面白かったりするんですが、何しろ時間が無くて…。俳優業が結構忙しい時期で、他の連載とかもあったりして、もうこの1、2ヶ月は地獄のようでしたね…。思い出したくもないぐらい(笑)。

――そこまで…(笑)。

松尾 でも、本当にいい経験になりました。予算が減って制作に時間がかけられない中で、脚本家の方はいろんな条件を突きつけられながら書き直したりしてると思うと、ドラマを作るっていうのは簡単じゃないんだな、と痛感しました。だから、もう2度と「何やねん、この脚本」とか文句は言えないなって思いましたね。

――第一稿の脚本が、20ページ分ぐらいオーバーしてたそうですが…。

松尾 だから、ちょっと行間を詰めたり、1行の文字数を増やしてみたり、5文字削って1行に収めたり…。「1ページ縮んだ!」って、ホンマ細かな作業をして。テトリスみたいで面白かったですけど。

――それ、物理的に短く見せてるだけでは…(笑)?

大東 (笑)。でも、最初の脚本よりさらに面白くなったんですよ。最初にいただいたものは、企画込みでワクワクしつつも、ここはちょっと相談したいなって部分があったんですけど、新しい脚本は、本当にちょっとゾクゾクする感じになってました。

松尾 今の言葉を聞いて、「本当に出てくれてありがとう」って、すごく心から思いましたね。ちょっと泣きそうになりました。ちょっと言い過ぎですけど。

大東 そこは「泣きそう」で、ええやん(笑)。

――俳優だからこそ書ける脚本っていうのもあると思うんですよ。

松尾 他の脚本家の方がどういう風に書かれてるのかはわかんないですけど、僕の場合は“脳内エチュード”みたいな感じで組み立てていったところはありますかね。あとは、やっぱり自分が今までやってきた作品で面白かった脚本に影響を受けた部分もちょっとあるかもしれないですね。

大東 最初は、文字で書かないんですか?まず頭の中で、その役が芝居を始めてるエチュードから文字化していくんだ。面白い!

松尾 同時に。想像して「あっ、コレええな」と思って、いざ書こうとすると、もう忘れてるからね。だから、思いついたらすぐ何かにメモしたりして。

――物語がどんどんカオスな展開になっていきますが、それは最初から決めてたんですか?それとも書いてるうちに? 

松尾 両方ですね。監督の井上(剛)さんから「小説の起承転結とはやっぱりちょっと違う展開、うねりみたいなモノがあった方がいい」とアドバイスされて。ラストは難しかったですね。ワチャワチャして終わらせたいと思ってたけど、MXから「30周年だから、局としてのメッセージを入れてほしい」と言われて、「どういうメッセージを?」って具体例を聞いたら、何かみんな曖昧に…。

大東 それがMX、ですね?(笑)

松尾 そうそう(笑)。で、結果的に僕が、何となくこうかなー、と書いたのを見て「あっ、それです、それです!」(爆笑)

■「MXは“町のいい定食屋”みたいなイメージ」(大東)

――お2人は、MXにどんなイメージをお持ちですか?

松尾 今回、脚本を書く為に取材してわかったんですけど、MXって「そんな人居る!?」みたいな人がいっぱい居るんです。そのネタでたくさん本が書けそうなんだけど、「そんな人居るわけないやん」って思われそうな(笑)。MXは東京ローカルの局ですけど、その割にはちょっとキラキラしてるイメージがあって、それってやっぱり、MXの「個性豊か」っていう言葉ではちょっと表現しきれない「へんてこりん」な社風が生きてるのかなと思ったりしました。

――大東さんは?

大東 チェーン展開されているような大きなレストランじゃなくて、町のいい定食屋を見つけたような気分になるイメージですね。「この大将がおるから、この店来んねん」みたいな。その店自体に個性があって人の想いがちゃんと乗っかってる感じがする、そういう空気を持ってる局だな、と。味付けも整ってない、万人に受ける味ではないけど、でも刺さる人には刺さるっていう。

松尾 塩サバ 定食にケチャップかかってるみたいな。

大東 「オバちゃんが言うなら、かけて食べてみようかな」みたいな。人情味がある感じがします。今回、普段自分がどれだけ他局で整えられた環境の安心感の中でやらせてもらっていたのかを実感したんですよ(苦笑)。でも、だからこそできないことも多くて、例えばこの言葉は使えないとか、今、制約が多くて、それで守られてることもあるんですけど、MXはそういうしがらみが少ない感じがしました。じゃなきゃ、マニアックなモノは作れないし、そういう面白さがあるんじゃないかなって思いますね。

――ご覧になる番組はありますか?

大東 「5時に夢中」。マツコ(・デラックス)さんを知ったきっかけもあの番組でした。

松尾 今回、僕、生放送前日(10月31日)にPRで出るんですよ。ちょっとドキドキです。でも、今回のドラマの舞台が同じスタジオなんで、そういう意味では、ロケハンができて良かったです。だから、生放送中、すごいキョロキョロしてると思います(笑)。
長年のコンビのように息の合った2人
長年のコンビのように息の合った2人 / 撮影/田中隆信


松尾からのラブコールで出演を決めた大東
松尾からのラブコールで出演を決めた大東 / 撮影/田中隆信

■「松尾さんから脇腹をつつかれて、出演を決めました(笑)」(大東)

――今回、大東さんは松尾さんに誘われて、出演を決められたんですよね。大東さんにオファーした理由を教えてください。

松尾 先月、久しぶりに現場で一緒になって、「やっぱり大東くんの芝居はいいな」と思ったんです。生ドラマはエネルギーがすごく必要なんですけど、爆発力のある俳優さんって意外に少ないんですよ。大東くんが言うセリフはパンッとパワーがあるので、この感じはこの生ドラマにも絶対生きるし、絶対効くやろ、と。何しろ、器用に何でもできるし、やっぱり身長が大きくてカッコいい。僕より歳下ですけど、役柄的に圧をかけてくれそうな感じもあるし、大東くんでイケるんじゃないかなって思いました。“内堀”は僕が演じる“千代田”より10~20歳ぐらい上の設定で脚本を書いてたんですけど、大東くんを想定して書き直しました。

大東 オファーの時点での脚本とは、今はもうまるで違うモノになってますけど。

松尾 大東くんに演ってほしいけど、本当に時間が無くてさすがに難しいかな、と思ったんで、こういう時だけ先輩ヅラして、ちょいちょいと脇腹を突きました(笑)。

大東 最初、MXさんを通して事務所にオファーが来て企画書を見たら、2つ返事でOKできる題材ではないなと。面白そうやけど、怖いというか不安もあるし。で、「どうしようかな…。でも、もう時間も無いし。ちょっと1日2日考えさせて」ってマネージャーと話したその数時間後に、松尾さんからの着信が携帯に残ってたんです。いやコレ、もうかけ直したら終わりやな…と(笑)。でも、先輩からかけてきてもらってるし、俺もかけ直さなしゃあないと思って…今に至ったワケです。

松尾 その電話から今日にワープしてます(笑)。

大東 でも、最初に脚本をいただいた時にめちゃくちゃワクワクしたのは事実です。キャストも決まってきて、「この人たちが生で動き出すんや。その中に居られるんや」って。僕も事件が大好きな人なんで、こんな事件性をはらんだ作品、なかなか乗っかられへんな、と思って。他のテレビ局や作品だったら、リスクがあるものを整えていくことになるけど、MXはいろんな事情でそんなに整えられない中で(笑)、それを面白がれるキャスト・スタッフが集まってたので、「この作品でしかできないモノが確かにある」と思ったんです。でも、僕がもう10歳ぐらい若かったら、ビビって断ってました。40歳間際になって、こんな臆病な自分をちょっと乗り越えたくて請けました。
「機会があれば、また松尾と何かできたら…」と言う大東
「機会があれば、また松尾と何かできたら…」と言う大東 / 撮影/田中隆信


■「面と向かって芝居するのは、ほぼ初めて」(大東)

――お2人がガッツリお仕事されるのは、久しぶりですか?

大東 同じ作品には結構入ってるんですけど、面と向かってちゃんとお芝居するのはほぼ初めてです。

――そうなんですか!?今日ずっとお2人を見てて、すごく息も合ってるし、結構ガッチリ絆があるのかなと思ってました。

大東 それは、松尾さんがやっぱり“人たらし”だから。僕は意外とシャイなタイプなんですけど、ずっと昔から知ってる人なんじゃないかなって感覚にしてくれるというか。

松尾 「拾われた男 LOST MAN FOUND」(NHK BSプレミアム/ディズニープラス)で、大東くんは僕の幼なじみの役だったんで、僕の役を演じた仲野太賀くんを通して僕がガッツリ芝居してる感覚になってる。

大東 あぁ!僕もその錯覚があるのかも。

――今回まだ軽く本読みをされただけとのことですが、お互いについて新たに感じたことはありますか?

松尾 思ってたより背が高かった。

――(笑)。大東さんからは?

大東 「拾われた男」の時点でも、自分の半生をドラマ化して大河ドラマ並みのメンバーを集める人望があって、劇中で使うイラストも描いて、それがまた素敵で…。で、今回は脚本も書いて、バケモンみたいな人なのに、この物腰の柔らかさ、バランス感覚がすごいなって、改めて思いましたね。これだけの仕事してたら“巨匠顔”になる人はいっぱい居ると思うんですけど。

松尾 いやいやいや。大東くんもね…(と、巨匠っぽく振る舞い始める)。

大東 その感じで来たら、メチャメチャ腹立ちますけどね(笑)。

■「大東くんは“松尾組”のリストに入ってます」(松尾)

――そのぐらいの関係性で今回オファーの電話が来たのは、やっぱりちょっと驚かれました?

大東 そうですね。頻繁に連絡を取ったことも無いし、2人でご飯食べに行ったことも無いし。でも、お互いに関西のローカル番組をやってるから、「関西に居る時、TV見ると出てるな」って話はしたりして。その辺りから、気づけば脇腹つつかれてたんかもわかれへん。「何かあった時、コイツ使えるな」みたいな(爆笑)。

松尾 ハハハハ。でも、もし僕がプロデューサーになることがあったら一緒にやりたい役者のリストの中には、大東くんはやっぱり入ってます。

――今後“松尾組”ができたとしたら、もう大東さんは確定で。

松尾 そうですね。でも、マンネリ化したくないから、違う人使うかも。

大東 ちょっと!

――(笑)。でも、松尾さんからまたお声がけがあったら、気持ち良く出ますよね?

大東 今ので、もう一気に気持ち良くなくなりました。

松尾 呼ぶやん、また呼ぶやん。次からも呼ばざるを得ないですよ。

大東 呼んでほしいです、やっぱ楽しいですから。松尾さんもオモロいですけど、松尾さんが中心になって集まった人たちは、すごい魅力的な人が多いんで。

松尾 本番が終わった時に、同じこと思ってくれてるかな…。
ナゾのポーズでフザケる松尾に苦笑する大東
ナゾのポーズでフザケる松尾に苦笑する大東 / 撮影/田中隆信


テンポの良い楽しいかけあいトークで、笑いの絶えないインタビューとなった
テンポの良い楽しいかけあいトークで、笑いの絶えないインタビューとなった / 撮影/田中隆信

■「尺が足りなくなったり、逆に余ったりしたら、それはその時」(松尾)

――これから、(生ドラマの)全体の通し稽古なんですよね。

大東 その時に、僕が降りてるかもわかれへん。

松尾 じゃあ、俺も降りる!

大東 普通のバラエティーやってるかも。

松尾 (警備員役の)皆川猿時さんだけ出てる。

大東 ヤバいな。事件性すごいな。

松尾 セリフ、なかなかのボリュームがあるし、僕も大東くんも他の仕事もあるんで…うん、しんどいな。

大東 そうですね。正直、負担ですよね。

2人 ワハハハハハ。

――アドリブとかもしたくなってくると思うんですけど、今回の場合は1秒たりとも延ばせないから、そんな余裕は無いですよね。

松尾 いやぁ、どうですかね。今日、本読みをした時に、大東くんがアドリブとまではいかないけど、自分の呼吸でセリフを言ってる感じがもうあったんで、「コレ、たぶん何か思いついたら色々差し込んできよるな」って思いました。僕は台本通りにやりますけどね!

――いやいやいや(笑)。

松尾 でも正直、今日2人で本読みをしてみて、大東くんとだったら、好き放題できるなって思いましたね。

大東 僕も同じこと思いました。

――でもそうなると、どこかでしわ寄せが…。
 
大東 そういうしわ寄せを作りそうなキャスティングなんですよ、僕を含めて(笑)。自由に走り出しちゃいそうな人たちで。

松尾 でも、井上さんがカチっと決めすぎるのがあんまり好きじゃないっていうのもあるんですけど、「尺を守らないと!」って、カチッと芝居してるのを見ても面白くないじゃないですか。もし尺が足りなくなったり、逆に余ったりしたら、それはその時。だから、僕は脚本を書いてる時に、最後までやってほしいっていう気持ちなんかさらさら無くて、やっぱり生だからこそ、伸びやかに大きくやった方がいいと思うんで。生放送なのに、これだけのびのびやってる人たちをのびのび撮ってるっていう面白さが、「芝居を見る」「人を見る」ってことなんじゃないかなって。真面目にいいこと言ったんじゃない?今(笑)。

――本当に、やってみないとどうなるかわからないですね。

松尾 全員無言で「シーン…」って(笑)。

大東 それでも成立するのがMX。

――無事に終われるのか楽しみに見ます!

■「いいひとりの日」ストーリー

TOKYO MXの開局からちょうど30年となる2025年11月1日夜8時。スタジオでは終末系情報バラエティ「原田龍二のイキタイ!」の生放送中で、11月1日=「いいひとりの日」にちなみ、一般参加の夫婦がカメラの前で離婚届に判を押すコーナー「ハンコおしてちょーだい!」を進行していた。番組のフロアディレクター・千代田(松尾諭)は、この企画に乗じて、あるサプライズを企んでいた。ところが、参加者の中に番組プロデューサー・内堀(大東駿介)の妻(宮澤エマ)の姿があり、事態は思わぬ方向へ動き出す…。
「いいひとりの日」人物相関図
「いいひとりの日」人物相関図 / (C)TOKYO MX


◆取材・文=鳥居美保


提供元

プロフィール画像

WEBザテレビジョン

WEBザテレビジョンは芸能ニュース、テレビ番組情報、タレントインタビューほか、最新のエンターテイメント情報をお届けするWEBメディアです。エンタメ取材歴40年以上、ドラマ、バラエティー、映画、音楽、アニメ、アイドルなどジャンルも幅広く深堀していきます。