「心筋梗塞」発症後の「寿命」はどれくらいかご存知ですか?発症後の注意点も解説!

「心筋梗塞」発症後の「寿命」はどれくらいかご存知ですか?発症後の注意点も解説!

心筋梗塞の検査法

心筋梗塞の診断には迅速かつ的確な検査が求められます。ここでは代表的な3つをご紹介いたします。

血液検査

心筋梗塞になると、心臓の筋肉が壊れるため、血液中に異常所見を認めます。これを調べることで、心臓にどの程度のダメージがあるかがわかります。発症からの経過時間によって数値の変化があるのが心筋梗塞の特徴で、何度か採血して確認する必要があります。また、早期発見のためにも役立ちます。

心電図検査

心電図は、胸に電極をつけて心臓の電気の動きを記録する検査です。心筋梗塞になると、心臓の一部が傷むため、電気の流れが乱れ、その変化が異常所見として現れます。特に「ST部分」という波が上がっているかどうかが重要な所見です。

心臓カテーテル検査

心臓カテーテル検査は、細い管を手首や足の血管から入れて、心臓の冠動脈に造影剤という薬を流し、血管の詰まった場所を調べる検査です。詰まっている部分が見つかれば、その場で風船や金属性の網目状の筒(ステント)を使って広げる治療を追加することが多いです。診断と治療を同時に行える重要な検査です。

心筋梗塞の治療法

治療法として内科的治療と外科的治療があります。以下に代表的な治療を3つあげ、各々について詳しく説明いたします。

薬物(血栓溶解)

心筋梗塞は、心臓を栄養する冠動脈に血のかたまり(血栓)が詰まることで起こります。そのため、血栓を溶かす薬を点滴で投与して、血流回復を目指します。カテーテル治療がすぐにできない地域や施設で使われることが多いです。

PCI(経皮的冠動脈インターベンション)

PCI(経皮的冠動脈インターベンション)は、現在、第一選択となる治療です。カテーテル治療の一つです。手首や足の血管から細い管を入れ、冠動脈内の詰まった部分まで挿入し、冠動脈内の病変部位をバルーンで広げたり、ステントという金属の網目状の筒を入れたりする治療です。入院のうえ、主に循環器内科医が担当します。

CABG(冠動脈バイパス術)

この治療は、カテーテル治療だけでは対応できない場合に行われる外科手術です。自分の脚や胸の血管を使って、詰まった部分を迂回する「バイパス路」を作ることで血流を回復させる治療です。入院のうえ、心臓血管外科医が担当します。

心筋梗塞を予防する方法

心筋梗塞は突然発症することが多い疾患ですが、日常生活を見直すことで予防が可能です。以下に重要なポイントをご紹介いたします。

生活習慣の改善

バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠を心がけ、肥満、高血圧、脂質異常、糖尿病を防ぐことが基本です。禁煙と節酒も重要です。バランスの良い食事とは、主食・主菜・副菜をそろえ、野菜・魚・大豆製品を中心に、塩分や脂肪、糖分を控えめにすることです。

ストレスとうまく付き合う

過度なストレスや不眠は血圧や心拍数を上げ、心臓に負担をかけます。リラックスできる時間を作り、趣味や軽い運動などで自律神経のバランスを整えることが重要です。

定期的な健康診断

高血圧、脂質異常、糖尿病などは心筋梗塞発症の大きなリスク因子です。これらはあっても自覚症状が乏しいため、発見が遅れることがたびたびあります。そのため、定期的に検査を受けて早期発見につとめ、必要に応じて治療を開始することが予防につながります。

「心筋梗塞後の寿命」についてよくある質問

ここまで心筋梗塞後の寿命などを紹介しました。ここでは「心筋梗塞後の寿命」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

心筋梗塞の10年生存率はどれくらいでしょうか?

佐藤 浩樹 医師

患者さんの重症度や合併症の有無によって異なるため、一概に回答はできません。ある報告では、心筋梗塞後10年での累積死亡率は46.8%と報告されています。つまり、10年後にも約半数の方は生存していたということになります。

心筋梗塞のカテーテル治療後の生存率はどれくらいでしょうか?

佐藤 浩樹 医師

心筋梗塞の重症度によって違いがあり、統一的な回答はできません。一方で、カテーテル治療施行後の3年生存率は約89.6% であり、治療成績は良好であるという報告もあります。

編集部まとめ

急性心筋梗塞は、心臓を栄養する冠動脈が突然つまる病気です。結果、心臓の筋肉が壊死を起こし動かなくなるため、命に関わることも多々あります。発症から治療までの時間が短いほど心臓の筋肉のダメージが少なくなり、予後が良くなります。心筋梗塞を疑う兆候を認めた場合は、できるだけ速やかに医療機関を受診してください。

「心筋梗塞」と関連する病気

「心筋梗塞」と関連する病気は6個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

循環器科の病気

狭心症

解離性大動脈瘤

急性心外膜炎

呼吸器科の病気

肺塞栓症

消化器科の病気

胃食道逆流症

その他の病気

肋間神経痛

心筋梗塞のように胸の痛みを起こす疾患は多く、命に関わる疾患もあります。早期に医療機関を受診して診断とともに適切な治療を受けることが重要です。

「心筋梗塞」と関連する症状

「心筋梗塞」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

胸痛

胸部圧迫感

息切れ

冷や汗

胃痛

歯の痛み

心筋梗塞は胸の痛みを伴う代表的な疾患です。でも、胸の痛み以外の症状もあります。こういった症状が続く時は、早めに医療機関を受診してください。

参考文献

急性冠症候群ガイドライン(2018年改訂版)

心筋梗塞二次予防に関するガイドライン

配信元: Medical DOC

提供元

プロフィール画像

Medical DOC

Medical DOC(メディカルドキュメント)は800名以上の監修ドクターと作った医療情報サイトです。 カラダの悩みは人それぞれ。その人にあった病院やクリニック・ドクター・医療情報を見つけることは、簡単ではありません。 Medical DOCはカラダの悩みを抱える方へ「信頼できる」「わかりやすい」情報をお届け致します。