「パーキンソン病」は“動きの症状”だけじゃない 見逃されやすい非運動症状とは

「パーキンソン病」は“動きの症状”だけじゃない 見逃されやすい非運動症状とは

パーキンソン病では、運動機能の変化だけでなく、精神面や自律神経にも広範囲にわたる症状が現れます。うつ症状、認知機能の変化、睡眠障害、便秘など、これらの非運動症状は運動症状よりも早期から出現することがあり、患者さんの生活の質に深く関わっています。本項では、見過ごされがちな非運動症状について、その種類と特徴を丁寧に解説していきます。

田頭 秀悟

監修医師:
田頭 秀悟(たがしゅうオンラインクリニック)

鳥取大学医学部卒業。「たがしゅうオンラインクリニック」院長 。脳神経内科(認知症、パーキンソン病、ALSなどの神経難病)領域を専門としている。また、問診によって東洋医学的な病態を推察し、患者の状態に合わせた漢方薬をオンライン診療で選択する治療法も得意としている。日本神経学会神経内科専門医、日本東洋医学会専門医。

パーキンソン病の多様な非運動症状

パーキンソン病は運動症状だけでなく、さまざまな非運動症状も現れます。これらの症状は運動症状よりも早期から出現することがあり、患者さんの生活の質に大きく影響します。

精神・認知機能への影響

パーキンソン病では、うつ症状が高い頻度で見られます。患者さんの約40〜50%にうつ症状が現れるとされ、これは単なる病気への心理的反応だけでなく、脳内の神経伝達物質の変化によるものと考えられています。気分の落ち込み、興味や関心の低下、集中力の低下などが主な症状です。
不安症状も頻繁に見られ、特に薬の効果が切れる時間帯に強くなる傾向があります。パニック発作のような激しい不安感を経験する患者さんもおり、日常生活に支障をきたすことがあります。
認知機能の変化も重要な非運動症状の一つです。記憶力の低下よりも、注意力や実行機能(計画を立てて実行する能力)の低下が目立ちます。複数のことを同時に行うことが困難になったり、新しい環境への適応が困難になったりします。

自律神経症状と睡眠障害

便秘は一般的な自律神経症状の一つです。腸の動きが悪くなることが原因で、しばしば運動症状よりも早期から現れます。適切な食事管理や水分摂取、場合によっては薬物治療が必要になります。
起立性低血圧も重要な症状で、立ち上がるときにふらつきやめまいを感じます。これは血圧調節機能の低下によるもので、転倒の原因となることがあります。ゆっくりと立ち上がる、十分な水分摂取を心がけるなどの対策が効果的です。
睡眠障害は多彩で複雑です。入眠困難や中途覚醒、早朝覚醒などの不眠症状に加え、日中の過度な眠気も見られます。レム睡眠行動障害という特徴的な症状もあり、夢の内容に合わせて大声を出したり、手足を激しく動かしたりします。
嗅覚の低下も早期から現れる症状で、匂いを感じにくくなります。これにより食事の味が分からなくなり、食欲低下につながることがあります。また、ガス漏れなどの危険な臭いを察知できなくなるため、安全面での注意が必要です。

まとめ

パーキンソン病は複雑で多面的な疾患ですが、正しい知識と適切な医療サポートがあれば、病気と上手に付き合いながら質の高い生活を長期間維持することが可能です。症状の早期発見、適切な診断と治療、継続的なケアが重要であり、患者さんとその家族が希望を持って歩んでいけるよう、医療従事者をはじめとする多くの支援者が連携してサポートしています。

参考文献

厚生労働省(パーキンソン病)

難病情報センター(パーキンソン病指定難病6)

日本神経学会(パーキンソン病診療ガイドライン)

日本パーキンソン病運動障害疾患学会

配信元: Medical DOC

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