
映画好きで知られるお笑い芸人・加藤浩次と映画ライターのよしひろまさみちが、毎週おすすめ映画を深掘りする「加藤浩次とよしひろのサタデーシネマ」(毎週土曜午前8:00〜11:00、BS10)。11月1日の放送回では、俳優・船越英一郎が推薦するリーアム・ニーソン主演作「トレイン・ミッション」(2018年)を紹介。中年男性が電車内で不可解な事件に巻き込まれていくスリラーの魅力と、その舞台裏が語られた。
■“初老アクション俳優”リーアム・ニーソンの凄みとヒッチコック的構成
船越は開口一番、「とにかくリーアム・ニーソンが大好き。初老に差しかかかってからアクション俳優としての地位を確立した稀有な俳優」と熱弁。電車の中で謎の女と出会い、次々と起こる事件に翻弄される主人公像について、「この作品で、リーアム・ニーソンは自分の身に何が起きているのかわからない。観ている我々も、この映画が何を語ろうとしているのか読めない。考察しながら楽しんでいただきたい」と語った。
監督は「フライト・ゲーム」でもニーソンとタッグを組んだジャウマ・コレット=セラ。ヒッチコック作品のような緊張感とサスペンスの構成を意識したと語った監督の姿勢に、加藤は「それ言えちゃうんだ。ハードルを上げてるようなもんですよ」と驚きを隠せないようす。対してよしひろは「ここまで言えるのは、ニーソンとの相性が良かったからだと思う。うまく回っている作品だからこそ、自信をもって言えたんだと思う」と分析する。
ちなみに印象的な電車内のシーンは、イギリスのパインウッド・スタジオに設けられたわずか1.5両分のセットで撮影された。シーンごとに壁や座席を組み替え、カメラアングルを工夫することで、まるで長い列車が走っているように見せているという。そんな裏話には、加藤も「7〜8両くらい使って撮影しているのかと思った。すごい」と驚嘆。そうした工夫は同シーンだけでなく、冒頭の通勤風景の描写など観客を作品世界に引き込む構成や演出も圧巻のひと言だ。
さらに番組内では、本作品が完成するまでの知られざる裏話も紹介された。脚本は早くから存在していたが、キャスティングが難航したことで2度も製作が頓挫。しかし監督が決まったことで、流れが一変する。リーアム・ニーソンとのタッグが決定すると、ヴェラ・ファーミガやパトリック・ウィルソン、サム・ニールといった主役級の豪華俳優陣が次々と集結。それまでの流れが嘘のようにトントン拍子で進んでいったという。
加藤とよしひろのトークからも、同作がただのアクションやサスペンスに留まらず、こだわり抜いた構成美と俳優の覚悟が支える“職人映画”としての側面が浮かび上がった。船越が語ったように、列車という動き続ける密室の中で主人公とともに「何が起きているのか」を探りながら楽しめる名作だ。
■「トレイン・ミッション」ストーリー
保険会社を突然リストラされたマイケルは、途方に暮れたままいつもの通勤列車で帰宅の途に就く。その途中、見知らぬ女が現れ、高額の報酬と引き換えに“プリン”と名乗る乗客を捜してほしいと持ちかけてくる。元警官だったマイケルは、報酬につられて捜索を始めるが、やがてそれがある陰謀に関わる罠であることに気付く。妻子まで人質に取られたマイケルはこの危機を無事に脱し、家族の元へ帰ることはできるのだろうか?


