十分な説明があったとは言えず?
フジテレビが2025年10月31日(金)、同局で放送するバラエティー番組「酒のツマミになる話」を年内で放送終了すると正式に発表しました。MCを務める千鳥から降板の申し出があり、人気番組が4月と10月の改編期を待たずに打ち切りになる異常事態となっています。
同番組の公式サイトでは、同月24日(金)に放送予定だった内容が急きょ変更されたことについて、「再生・改革の取り組みを進めている弊社の状況を鑑み、内容を差し替えて放送いたしました。その過程において、社内における連携に不十分な点があったことから、放送直前での変更となりました」と説明。その結果として、「放送後、千鳥のお二人より降板のお申し出があり、社内で協議した結果、年内をもって番組を終了することとなりました」と番組終了の理由を明かしています。
問題の放送内容ですが、当初は出演者がハロウィーンのコスプレをしてトークする予定でした。予告でもコスプレしている出演者が映り、大悟さんは金髪のカツラと白いTシャツでダウンタウン松本人志さんの変装を披露。週刊誌の取材によると、この大悟さんのコスプレが原因で、番組の差し替えにつながったとされています。
では、松本さんのコスプレが問題だとして、なぜ急に差し替えが行われたのでしょうか? 筆者がテレビ局に務めていたときは、割と自由なバラエティー番組であっても、いくつかのチェックを行う体制でした。
通常であれば、CMスポンサーに関する不適切な発言があると、差し替えや編集のやり直しが通告されます。また、出演者が不祥事を起こした際も差し替え対象です。ただ、このレベルの「緊急事態」でないと、普通は番組の差し替えは行われません。
そもそも、2024年の「酒のツマミになる話」の同じ企画で、大悟さんは松本さんのコスプレをしていました。それにもかかわらず今回は普通やらない緊急差し替えをしたわけで、異常事態が起きたといえます。松本さんがいろいろあって休業しているとしても、ここまでフジテレビが神経質になる理由がよく分からない状況です。公式サイトの説明では、十分に真相を明かしているとは言えないいでしょう。
MC大悟を批判するのは“的はずれ”、その理由
さて、今回の大騒動ですが、SNSでは大悟さんに批判的な意見も出ています。「ダサい」「イキっている」などアンチコメントが書き込まれているのですが、どれも的はずれだと言えるでしょう。まず大悟さんに関しては、周囲にいるテレビ関係者に評判を聞いても、悪い話が出てこない芸人です。
過去にスタッフとして大悟さんの番組に関わった関係者は、
「少しぶっきらぼうですが、お笑いに対してストイックで悪い印象はない。あれだけ売れているのに、こちらの要望に応えるため体を張った企画などもOKしてくれる。収録の現場では何でも面白がって、大悟さんが怒ったという話を聞いたことがありません」
「そもそも、松本さんのコスプレが本当にダメなら、収録前にNGにできたはず。それなのに直前で変えたわけで、他局のスタッフからフジテレビが完全に悪いと言われています」
と証言しました。
大悟さんといえば、これだけ売れているのに、過酷なスケジュールで撮影する地方局の「いろはに千鳥」(テレビ埼玉)へいまだに出演していることで有名です。この番組は、千鳥がブレークする前からのレギュラーという恩義を感じ、売れてからも変わらず出演を続けています。そんな義理人情にあつい芸人が、松本さんから引き継いだ「酒のツマミになる話」を降板するわけで、かなり思い悩んで決断したことでしょう。フジテレビの調整不足を批判するならまだしも、大悟さんにバッシングを寄せるのは間違っていると考えます。
さて、そんな大悟さんですが、現在は「酒のツマミになる話」以外にも、「すぽると!」、「千鳥の鬼レンチャン」、「火曜は全力!華大さんと千鳥くん」と、フジテレビ系の番組に多く出演中です。今回の降板騒動が、他のレギュラー番組にも影響があるのかいまのところ分かりませんが、少なからず局とミゾができたようには感じます。
フジテレビは騒動に対して、「千鳥のお二人に感謝を申し上げると共に、視聴者の皆様には最終回まで放送をご覧いただければ幸いです」と公式コメントを発表しています。ただ、説明は本質が語られておらず不十分だと思える内容で、視聴者が納得するのか疑問が残るところです。
中居正広氏と元女性アナウンサーとのトラブルにおける対応をめぐって、多くの視聴者から信頼を失ったフジテレビ。今回の騒動でも、このままでは再び視聴者からの信頼を失うことになりそうです。
(ゆるま小林)

