ようやく交わった心
タバコなんて、吸ってないくせに──彼の機転と気遣いに感謝しつつ、私は視線を母や彩花、叔母に戻した。するとそこには、さっきまでの冷たい目付きはなく、それぞれ後悔を滲ませたような表情をしていた。
しばらくの沈黙の後、私は重い口を開いた。
「……ずっと、話し合えなくて辛かった。すれ違いっぱなしで苦しかった……」
するとそこから私たちは、思い思いに話し始めた。祖母には充実した最期を迎えてほしかったこと。だけど、それぞれに余裕がなく、精一杯だったこと。だからこそ、相手のアラがとても気になってしまったということ……。
私たちはいつしか、相手への気遣いを忘れてしまっていた。誤解し続け、当てつけたこともあった。でも、俊介の声がけをきっかけに、こうして話し合う機会をつくることが出来た。
会食会場へ戻る頃には、昔のようには戻れなくとも、4人の間にようやく穏やかな笑顔が戻っていた。会食では祖母の思い出話に始まり、私と俊介の結婚式の話まで会話は広がった。
私たちと叔母家族の間に久しぶりに流れる穏やかな雰囲気。心なしか、遺影の祖母の笑顔もいつにも増して晴れやかそうに見えた。
あとがき:家族を繋ぐもの
介護をきっかけに壊れた関係は、そう簡単には修復できない。それでも、人の言葉や優しさひとつで、少しだけ心が動くことがある。祖母が残した“つながり”という種は、確かに美咲たちの中にあリました。それをもう一度育てるかどうかは、これからの彼女たち次第です。祖母の遺影の笑顔に見守られながら、美咲はその小さな希望を静かに抱きしめました。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています。
記事作成: tenkyu_writing
(配信元: ママリ)

