義母の優しいひと言
「絵里。花ちゃん、ママと行きたいんだって」
そう義姉に声をかけたのは義母だった。優しさの滲む微笑んだ表情の中に、静かな強さを感じた。
「でも沙耶ちゃん、悠くん連れたままだったら大変じゃ……」
「悠くんを啓介とか私たちに任せてもらえば解決でしょ?それに、ゆっくり回るのだって思い出になるでしょ?」
義母は穏やかに諭すように義姉へと語りかける。義姉は困り顔ながら、義母の話に耳を傾けていた。その様子を見て、義母は続けた。
「それにさ、絵里。もしかしたら花ちゃん、もう絵里とは十分一緒に過ごしたから、そろそろママと過ごしたくなったんじゃない?」
「えっ?」
それはまるで、私の心を見透かしたような言葉だった。ずっと義姉に子どもたちを取られているような気がしていた。子どもたちも義姉と過ごす方が楽しくなってしまったんじゃないかとさえ思っていた。そんな私の不安を掬い上げつつ、傷つけないように義姉に気づきを与えるような言葉を義母は紡いだ。
優しくも真剣な義母の眼差しと言葉に、義姉も何かを察した様子だった。義姉は娘に合わせてしゃがみ込んだ体勢から立ち上がり、私に身体を向き直した。
「沙耶ちゃん、ごめんね。子どもたち、独り占めにしてたよね?」
「あ、いえいえ……でも正直、子どもたちともう少し過ごしたいなぁと思ってました」
──義母の言葉がけによって、私の心の中のわだかまりは解けた。その後、義姉は良い距離感で子どもたちと接してくれていて、私も当時より余裕を持って接することができるようになった。
かつての義姉の子どもたちの独り占めには、母親として不安を感じざるを得なかった。でも関わり方を変えた今、義姉のように愛情深く甥っ子姪っ子に接してくれる親戚の存在はありがたい限りだ。すれ違いと葛藤の末に得られたこの関係性を、私は大切にしていきたい。
あとがき:すれ違いの先に見えた“家族”の形
義姉との関係は、ずっと難しいものだと思っていた。けれど、娘の素直な言葉と義母の優しい仲裁が、沙耶たちの関係を静かに変えてくれました。
母としての沙耶を尊重し、義姉も歩み寄ってくれたこと。あの時の小さな一言が、家族を繋ぎ直すきっかけになりました。
彼女はこれからも迷いながら、それでも“家族であること”を大切にしていくのでしょう。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています
記事作成: tenkyu_writing
(配信元: ママリ)

