睡眠不足が「心筋梗塞」のリスクを高める? 7〜8時間睡眠が重要な理由

睡眠不足が「心筋梗塞」のリスクを高める? 7〜8時間睡眠が重要な理由

適切な生活リズムと質の良い睡眠は心筋梗塞予防において重要な要素です。睡眠不足や不規則な生活は交感神経の活動を亢進させ、血圧上昇や血糖コントロールの悪化を招きます。規則正しい生活リズムと十分な睡眠時間を確保することで、体内時計が正常に機能し、心血管系の健康を維持することができます。

滝村 英幸

監修医師:
滝村 英幸(医師)

【経歴】
2006年3月聖マリアンナ医科大学医学部医学科卒業
2006年4月聖マリアンナ医科大学病院初期臨床研修医
2008年4月済生会横浜市東部病院循環器内科
2016年12月総合東京病院循環器内科
2022年4月総合東京病院心臓血管センター循環器内科心臓血管インターベンション科科長
【資格】
日本循環器学会専門医、日本心血管インターベンション治療学会専門医

生活リズムと睡眠管理の心臓保護効果

適切な生活リズムと質の良い睡眠は、心筋梗塞の予防において重要な要素です。生活習慣の乱れは心血管リスクを高める要因となります。

質の良い睡眠と心血管疾患の関係

睡眠不足や睡眠の質の低下は、心筋梗塞のリスクを高めることが多くの研究で示されています。睡眠時間が6時間未満の短時間睡眠では、心筋梗塞のリスクが約20%増加するとされています。また、9時間以上の長時間睡眠でもリスクの増加が報告されており、7〜8時間の適切な睡眠時間の確保が重要です。

睡眠不足が心血管系に与える悪影響は多面的です。睡眠不足により交感神経活動が亢進し、血圧や心拍数が上昇します。また、インスリン感受性が低下し、血糖コントロールが悪化します。さらに、炎症性サイトカインの分泌が増加し、血管内皮機能が低下することで動脈硬化が促進されます。睡眠不足は食欲調節ホルモンにも影響を与え、肥満のリスクも高めます。

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中の無呼吸により酸素不足と覚醒が繰り返されることで、血圧上昇、不整脈、血管内皮機能の低下などが起こります。大きないびきや日中の眠気がある方は、睡眠時無呼吸症候群の可能性があり、検査と治療を受けることが重要です。CPAP療法などの適切な治療により、心血管リスクを軽減することができます。

規則正しい生活リズムの心臓保護効果

規則正しい生活リズムの維持は、体内時計を正常に保ち、心血管機能の安定化に寄与します。不規則な生活リズムは体内時計を乱し、血圧、心拍数、血糖値などの生理機能の日内変動パターンを破綻させ、これにより心血管系への負担が増加し心筋梗塞のリスクが高まります。

シフト勤務者では、心筋梗塞の発症リスクが一般的な勤務者と比較して約20%高いことが報告されています。これは不規則な勤務時間により体内時計が乱れ、睡眠不足や食生活の乱れが起こることが原因と考えられています。シフト勤務を避けることが困難な場合は、勤務スケジュールの工夫や適切な光療法、メラトニン補充などにより体内時計の調整を図ることが重要です。

規則正しい生活リズムを維持するためには、毎日同じ時間に就寝・起床し、食事の時間も一定にすることが基本となります。朝の光を浴びることで体内時計がリセットされ、夜間のメラトニン分泌が促進されます。また、夕方以降の強い光の曝露や、就寝前のカフェイン摂取、スマートフォンやパソコンの使用を控えることで、質の良い睡眠を確保することができます。

まとめ

心筋梗塞は生活習慣と密接に関連した疾患ですが、適切な知識と継続的な予防策により、そのリスクを大幅に軽減することが可能です。症状の早期認識、危険因子の把握、生活習慣の改善を通じて、一人ひとりが自身の健康を守ることができます。
定期的な健康チェックと医療機関との連携により、心筋梗塞の予防と早期発見に努めることが、充実した人生を送るための重要な基盤となるでしょう。

参考文献

厚生労働省令和6年(2024)人口動態統計月報年計(概数)の概況 厚生労働省:循環器疾患について 日本循環器学会:急性冠症候群ガイドライン

国立循環器病研究センター:心筋梗塞とは

国立循環器病研究センター:糖尿病

日本動脈硬化学会:動脈硬化性疾患予防ガイドライン

配信元: Medical DOC

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