“安心”と“選択”があることが平和を生む
小竹:2021年にユナイテッドピープルワインを立ち上げられましたが、きっかけはワイナリーを作りたいというところからですか?
関根:ユナイテッドピープルが20周年を迎えるにあたり、いよいよタイミングだなと感じました。10周年のときに、ある方が「関根さんは平和を志しているでしょ」と言ってプレゼントしてくれたワインがありました。南アフリカのワインなのですが、アパルトヘイトが終わったことを象徴するワインと言われていて、対立していた白人と黒人が協力して作ったものなんです。
小竹:うんうん。
関根:そのとき、ピースワインという平和のためのワインのコンセプトの種が生まれました。対立している人たちが「国は国、人は人」と言って繋がりながら、「私たちは平和を築いていこう」と協力し合うピースワインを作りたいと思ったんです。
小竹:それでユナイテッドピープルワインということですね。
関根:レバノン人のキリスト教徒とシリア人のイスラム教徒が、宗教を超え、国を越え、協力しながらワインを作っている事例を知りました。シリア人は難民としてレバノンにやってきて、彼らが作っているワインと出会い、会いに行って意気投合して、最初にユナイテッドピープルワインとして輸入販売を始めたのが、メルセルワインというワイナリーです。

レバノンのメルセルワインのオーナー&ワインメーカーの、エディー・シャミさん(レバノン人、キリスト教徒)(写真右)と、アシスタントワンメーカーでシリア難民のアブダラ・リヒさん(イスラム教徒)(写真中央)
小竹:そうなのですね。
関根:あと、ワイン作りのほうも着手しています。場所は北海道の余市で、5年間で100ヶ国の国籍の方々と、国を超え、宗教を超え、みんなで平和を願いながらブドウを植えたり、ブドウの面倒を見たり、収穫したりしてワインを作ろうということを始めて、もう4年目になりました。目標は100ヶ国で、今30数ヶ国の方々と21品種のブドウを植えました。
小竹:そんなにたくさん!
関根:多様性を表現したいのでブレンドをしています。国連が9月21日を平和の日と決めているので、その日にちなんで21品種を赤でも白でもなく、ロゼで作っています。白黒はっきりさせる、敵か味方か、あっちかこっちかではなく、世界はグラデーションだということで、ロゼを21品種作っています。
小竹:この事業を映画より大きくするみたいな夢もある?
関根:ゆくゆくは僕の原点の中東で、中東周辺のさまざまな人たちと一緒に、大きめな規模のワイナリーを作るというのが最終ゴールかなと思っています。映画もやりつつ、ワインもやりつつ、そのワイン作りを映画化することも想定しながら考えています。
小竹:関根さんが考える平和とは?
関根:安心と選択ですね。今日が当たり前のように明日まで続いているという安心感。逆に言うと、その安心が得られない人たちが結構多いわけです。あと、どこに行こうか、どんな未来や職業を選ぼうかといった選択肢がない。だから、選択肢があるということですね。
小竹:今後やってみたいことはありますか?
関根:世界でこんなことが起きている、でもこんなに可能性がある、こんなことができるというヒントがあるような映画をもっともっと届けていきたいです。また、みんなの心がもっともっと平和に満ちて、もっともっと多くの交流が生まれるようなピースワインを完成させたいとも思っています。
(TEXT:山田周平)
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【ゲスト】
第43回(9月12日配信) 関根健次さん
ユナイテッドピープル株式会社 代表取締役。一般社団法人 国際平和映像祭 代表理事、NPO法人PEACE DAY 理事。ベロイト大学経済学部卒。大学卒業旅行中に偶然訪れたガザ地区で紛争の現実に触れ、平和の実現を人生のミッションと定める。2002年、「人と人をつなぎ、世界の課題解決に貢献する」を理念に、戦争、貧困、飢餓、気候変動などのグローバルな課題に取り組むユナイテッドピープル株式会社を設立。2009年より映画事業を開始し、2014年には映画上映会プラットフォーム「cinemo(シネモ)」を立ち上げる。映画『もったいないキッチン』プロデューサー。2021年9月21日、ピースデーにワイン事業「ユナイテッドピープルワイン」をスタート。北海道余市町にて、100ヶ国出身の人々が国境や宗教を越えて協働する「余市ピースワイン・プロジェクト」に挑戦中。
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ユナイテッドピープル / cinemo
映画『ガザ 素顔の日常』
映画『アリ地獄のような街』
クックパッド株式会社 小竹 貴子
クックパッド社員/初代編集長/料理愛好家。
趣味は料理🍳仕事も料理。著書『ちょっとの丸暗記で外食レベルのごはんになる』『時間があっても、ごはん作りはしんどい』(日経BP社)など。
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