「もしあの日、寝坊していなかったら――」。今でもその言葉を思い出すたび、背筋がゾッとします。あれは、結婚して間もないころに起きた出来事でした。
珍しく寝坊した朝
当時、夫は仕事をしながら資格取得のために学校にも通っていました。前日の仕事が忙しく、深夜に帰宅したため、朝になってもなかなか起きてこなかったのです。私はその日、夫に学校があることを知らず、「疲れているだろうから、もう少し寝かせてあげよう」と思い、自分もつい一緒に眠ってしまいました。
「やばい!」という夫の声で目を覚まし、時計を見ると午前10時を過ぎていました。結局、その日の授業は休むことに。私たちは「せっかくだから、のんびり朝ごはんにしよう」とテレビをつけました。
テレビに映った衝撃のニュース
画面には、どのチャンネルでも緊急ニュース速報が流れていました。関東の地下鉄で、信じられないような事件が起きていたのです。
しばらくして、夫の通っている学校の最寄り駅が被害のあった路線にあることに気付きました。もし寝坊せずにいつもの時間に家を出ていたら、まさにその電車に乗っていた可能性が高かったのです。私たちは言葉を失い、しばらく無言でニュースを見つめていました。

