●また少女が転落死、それでも「何も変わらない」現場
トー横の周辺では、市販薬を大量に摂取する「オーバードーズ」や薬物の売買、性犯罪などのトラブルが絶えない。
10月13日の夕方には、トー横に出入りしていたとみられる女子中学生(14)がビルから転落し、死亡した。トー横キッズによると、この少女は当時、友人と一緒に飛び降りようとしていたという情報もある。
「友だちが亡くなっているのに、ここに来ている子どもたちは何も変わらない」
トー横周辺で警備にあたるスタッフからそんな話を聞いたという浩三さんは、「怖いですよね。この場所は本当にぶっとんでいます」とつぶやいた。

●「トー横をなくすのは難しい」第二の居場所を
トー横を取り巻く環境の深刻さは、「支援」と称して入り込む大人たちが相次いで摘発されていることにも表れている。
それでも浩三さんは前を向こうとしている。
「警察の取り締まりが厳しくなったことで、悪い大人たちが次々と捕まり、以前よりは平穏な状態になりました。今のトー横は"管理者不在の混沌"という感じですね」
今ではトー横キッズの中にも顔見知りができ、現地を訪れると声をかけてくれる子もいる。
「『もう嫌気がさしました』と言ってトー横を離れた子から『ありがとうございました』と連絡をもらったときは、うれしかったですね」

小さな出会いが、子どもたちの運命を大きく変えることもある。そんな瞬間を見てきたからこそ、娘と同じ最期を迎える子どもたちを一人でも減らしたいとの思いは強まる。
「本当はトー横という場所をなくしたい。でも現実的には難しいですよね。だからこそ、トー横に代わる"第二の居場所"をつくるのが目標です」

