\美しく、まばゆく、ときに妖しく光る宝石の世界/
国内最大級の宝石専門情報メディアKARATZ(カラッツ)が贈る、宝石の世界。
『小さな宝石の本』(リベラル社)は、各地に伝わる宝石の言い伝えや、偉人が愛した宝石、さらに文学や絵画に登場する宝石など、多方面から宝石を楽しめる1冊です。
今回は、歴史に名を残した偉人たちが愛した宝石とその魅力について、一部抜粋してお届けします。
ヘンリー8世

イラスト/人物:©溝上なおこ 宝石:©SUBANA
イギリス国王ヘンリー8世は、ダイヤモンド、サファイア、エメラルドなどの宝石を愛する女性たちに惜しげもなく与え、彼自身もそうした宝飾品で贅沢に着飾ったそうです。
ヘンリー8世の宝石に関する逸話の中では、最初の妻キャサリン・オブ・アラゴン妃に贈った真っ赤な「ルビー」の話がもっとも有名です。
王がキャサリン妃の侍女アン・ブーリンにひかれ、妃への関心を失っていくにつれ、その心変わりに合わせるかのように、燃えるようなルビーの赤が次第に色褪せていったといいます。
六度結婚して、自身の離婚のために教会とも対立した彼の評判は「好色」「利己的」「無慈悲で不安定な王」と散々です。
しかし、権力者や教会から華美な宝石を没収し、和平外交に利用するといった賢明な一面もありました。
ルビー
〈紅玉[こうぎょく]〉
