
高石あかりが主演する連続テレビ小説「ばけばけ」(毎週月~土曜朝8:00-8:15ほか、NHK総合ほか※土曜は月~金曜の振り返り)が放送中。本作は、松江の没落士族の娘・小泉セツ(1868-1932)をモデルに、外国人の夫ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)と共に怪談を愛し、急速に西洋化が進む明治の日本の中で埋もれてきた名も無き人々の心に光を当て、代弁者として語り紡いだ夫婦の物語。主人公・松野トキを高石が、のちの夫となるヘブンをトミー・バストウが演じる。
「ばけばけ」の物語も第5週の放送を終え、トキとヘブンの出会い、そしてトキと錦織との再会が描かれた。WEBザテレビジョンでは、松江随一の秀才であり、外国人教師として松江にやってきたヘブンをサポートする錦織友一を演じる吉沢亮にインタビューを実施。役柄や英語での芝居への挑戦について、共演者の印象などを語ってもらった。
■思った以上に英語が難しくて絶望しました(笑)
――吉沢さんが演じる錦織友一は「大盤石(だいばんじゃく)」の異名を持つ松江随一の秀才です。“松江一の秀才”役のオファーを受けた際のお気持ちを教えてください。
オファーを頂いた際には、秀才という部分に特別何か感じたということはなかったのですが、台本を読ませていただくと思った以上に英語がありびっくりしました。
――演じるにあたり、“秀才感”のようなものは意識されましたか?
第4週は意識していました。錦織も東京に出てきたばかりで、「これから自分たちで日本を動かしていく、変えていく」という心意気がすごく強い時期。自分が秀才であるという自負もあったと思いますし、自分の生い立ちなどに思うところはありつつも、自分の力で世界を変えていくという志を強く持っていたのが第4週だったと思うので、秀才感を意識はしていました。第5週からはヘブン先生に振り回されることになるので、秀才感というよりもドタバタ感を意識しながら演じています。
――今作への出演に際し、出演の決め手になったことはありましたか?
「ばけばけ」の制作統括・橋爪(國臣)さん、演出の村橋(直樹)さんは大河ドラマ「青天を衝け」(2021年)でご一緒させていただきました。今回、そのチームの方々からお声掛けいただき、すごくありがたいなと思い『ぜひやらせてください』とお伝えしました。また錦織という役柄が英語を話すとのことで、以前から英語を学びたいという思いがあったこともあり、とてもいい機会をいただいたなと。ですが、思った以上に英語が難しくて絶望しております(笑)。
――英語のせりふも多い中、大変な点や準備されたことはありますか?
錦織は大盤石と呼ばれるほどの秀才ですので、見ている方に違和感を与えないようにしたいなと。ネイティブのような発音を目指しているわけではないのですが、“練習している感”が出ないよう、準備の段階では週に2、3日ほどの英語のレッスンを続けて撮影に臨みました。第5週の映像を見たトミーさんから「完璧だった」と言ってもらえたので、何とか形になっているのではないかなと思っています。
――英語のせりふを話すにあたり、意識されていることはありますか?
当時の人はいまとは全く違う英語との距離感だったので、日常会話の中で英語がポンッと単語として日本語の中に出てきたりするんですよね。話している中で突然「It's a surprise」と言ったりするなど、お芝居をする中で意図せずコメディのようになってしまう瞬間もあったので、いかに真面目に言えるかということを意識して頑張っています。
――英語のせりふの難しさをどのように感じていますか?
英語のせりふを覚えるということに関しては難しくてもやればできますが、お芝居で英語を話すということになるとせりふに感情が乗った上で話さなくてはならない。そのテンション感が難しいなと。さらにせりふとして「錦織が話している英語」と「通訳としての英語」があるので、そこの違いも意識しながら演じていますが、なかなか難しいなと感じています。
――ご自身の英語の上達も感じますか?
それがびっくりするくらいに手応えがないんです。もっと喋れるようになるかと思っていたのですが、まだ全然話せません(笑)。
■高石さんもトミーさんもお芝居がとても自然で心地良いです
――トキ役の高石あかりさん、ヘブン役のトミー・バストウさんとは初共演ですね。
第5週以降、高石さんとトミーさんと3人でのシーンも多くなります。目の前で起きている事象は少し重めのお話だったりしますが、それを重く扱わずにあえてコメディタッチのテンションでお芝居させていただくことが多いんです。お二人ともお芝居のテンポ感やテンション感がナチュラルですし、コメディではありつつもオーバーに演じないところがすごく心地良くて。とてもすてきなお二人だなと思いながら演じさせていただいています。
――高石さんとのお芝居の中で刺激を受けることはありますか?
初めの頃は、高石さんのお芝居がせりふなのか素で笑っているのか分からないくらいでした。本当にお芝居の中になじんでいらっしゃり、こちらが戸惑うくらいに自然に演じられる方なので、すごく刺激をいただいています。
――第5週で錦織はヘブンに出会い、彼のサポートをしていきます。
江藤県知事(佐野史郎)が目指す“島根に英語教師を招き教育を変えていく”という部分の主役になる人がヘブン先生です。錦織は彼と一緒にいれば自分自身の人生も変わるのではないかという期待を持って接していると思っています。
――今後、錦織とヘブンの関係はどのように変化していくのでしょうか。
少なくとも、錦織にとってヘブン先生は最もかけがえのない存在と言っても過言ではないほど、二人の距離は縮まっていきます。現時点でも錦織はヘブン先生への期待がありますし、相当いい仲になっていくと思います。


■トミーさんには「何時起き?」を教えました(笑)
――トミーさんが毎日現場で異文化交流をしているとお話しされていました。吉沢さんがトミーさんに教えたことなどはありますか?
先日、「何時起き?」という言葉を教えました(笑)。ロケで朝がすごく早い日があったのですが、トミーさんが先に現場に入っていたので「今日トミーは何時起き?」と聞いたんです。すると「何時起きってなに?」と。「日本人は『何時に起きた?』と聞くところを略して『何時起き?』と言うことがよくあるよ」と伝えました。
――その後トミーさんが「何時起き?」を使われることも?
毎日言われます(笑)。
――(笑)。 撮影の際、アドリブなどもあるかと思います。トミーさんにとってはつかみ切れないこともあるのではと想像するのですが、いかがですか?
全くそんなことはなく、楽しそうに対応している印象があります。彼の方が日本語でアドリブを入れてきて笑ってしまう瞬間もあります。
――すてきですね。吉沢さんも英語でアドリブをされたりすることもあるのでしょうか。
挑戦してみることもあるのですが、本番前のドライリハーサルでやってみて、「あ、やめよう」となります(笑)。この先そういったシーンもあるといいなと思っています。

■大河ドラマ「青天を衝け」での経験が生きていると感じることも
――松江でも撮影をされたと伺いました。松江の印象はいかがでしたか?
松江での撮影の際、至るところに「ばけばけ」のポスターやのぼりがあり、町全体でこの作品を応援してくださっていることが伝わってきて非常にうれしかったです。ロケ場所も本当にすてきな場所で撮影させていただき、松江でしか撮れない画がたくさん撮れたのではないかなと感じます。食べ物もとてもおいしかったです。出雲そばも初めていただき、少し甘い醤油をかけながら食べるというスタイルが新鮮でおいしくいただきました。
――吉沢さんが主演された大河ドラマ「青天を衝け」の舞台も、「ばけばけ」と同じく明治時代でした。当時の経験が生かされていると感じることはありますか?
意図的に何かを意識したということはないのですが、「青天を衝け」で演じた渋沢栄一はその時代の変化を心から楽しめる人でした。ただその時代、渋沢のような人ばかりではなかったと思いますし、取り残される人もいれば、否が応でもその時代の流れに乗っていくしかない人もいる。そんな中で、錦織はどうなのだろうと考えたりしました。「青天を衝け」で学び経験した、その時代を生きた人たちの空気感というものは今回の役作りにも生きていると感じます。
――“朝ドラ”への出演は「なつぞら」(2019年)以来となります。“朝ドラ”というものをどのように感じていらっしゃいますか?
「なつぞら」の際、やはり1年近くにわたる撮影がありますし、スタッフさん、キャストの皆さんの空気感がある種家族のような温かさだなと感じました。そして今回6年ぶりに“朝ドラ”に出演させていただきましたが、やはり強い絆で結ばれているような雰囲気を感じます。また「ばけばけ」はライティングや、“手作り”というものにこだわりを感じますし、すてきな現場でお芝居をさせていただいています。
――「ばけばけ」という作品について、『コメディだけれども登場人物それぞれが何かしらの事情を抱えている』とお話しされているのを拝見しました。錦織に関しても今後描かれていくのでしょうか?
錦織は、松江随一・トップクラスの秀才だと周りから思われているプレッシャーもあるのだと思います。またこれから先、彼の挫折であったり、挫折との向き合い方であったりも描かれていくと思いますので、今後も注目していただければうれしいです。

※高石あかりの「高」はハシゴダカが正式表記
■撮影=山田大輔

