【闘病】なんで私なの? 『子宮頸がん』は“5度の再発・転移”を繰り返し…

【闘病】なんで私なの? 『子宮頸がん』は“5度の再発・転移”を繰り返し…

突然の大量出血から子宮頸がん(ステージIB2期)が判明した善本考香さん。シングルマザーとして娘を育てていた責任感から「落ち込んでいる暇はない」と治療に臨みます。初発以降、右肺や肝臓など全身に5度にわたる再発・転移を経験。壮絶な手術と治療の末、現在も複数の後遺症を抱えながら生きています。しかし善本さんは「病気は不幸ではない。生き方を見直すチャンス」だと語ります。命ある今に感謝し、日々を大切にする闘病の軌跡を紹介します。

※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2024年12月取材。

善本考香さん

体験者プロフィール:
善本 考香

50代女性。2011年に大量の不正出血があり、急いで病院を受診。子宮頸がん1b2期と診断され、手術をおこなったところリンパ節転移が判明。抗がん剤治療、放射線療法もおこない、その後は検査にて経過観察となった。2013年に右肺・両側縦郭リンパ節・両側肺門リンパ節・左鎖骨リンパ節への転移が発見された。計5回の再発転移を経て、動脈塞栓術・重粒子線治療をおこない、2013年12月に治療を終了した。現在も治療の後遺症と付き合いながら、社会貢献を精力的にこなしている。

平野 卓朗

記事監修医師:
平野 卓朗(済生会横浜市東部病院)
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。

病気になることは不幸ではなく、新たな人生の始まり

病気になることは不幸ではなく、新たな人生の始まり

編集部

はじめに善本考香さんの闘病経験を通して、読者に一番伝えたいことを教えていただけますか?

善本さん

みなさんにどうしても伝えたいことは2つです。それは「病気(がん)になったことは不幸ではない」ということと、「病気をきっかけに自分の生き方を見直すチャンスになる」ということです。私の場合、当たり前の日常に感謝しながら過ごすようになり、毎日を精一杯生きようと心がけるきっかけになりました。病気になることは決してよいこととは言えませんが、悲観するだけではない視点を持ってみてほしいです。

編集部

善本さんの子宮頸がんが判明した経緯について教えていただけますか?

善本さん

きっかけは2011年8月頃、大量の不正出血があったことでした。急いで病院を受診し、検査したところ「子宮頸がん」と診断され、ステージはIB2期と宣告されました。子宮頸がんのIB2期とは、腫瘍最大径が2cm超4cm以下のものを指します。そこで医師からは広汎子宮全摘出術で子宮と卵巣を切除し、病理検査の結果次第で抗がん剤治療もおこなうことが説明されました。

編集部

病気が発覚したときの心境も教えていただけますか?

善本さん

「来るときが来たか……。でもなんで私なの?」と思いました。2人に1人はがんになると言われる時代ですから、「いつかはそういうときが来るかもしれない」とは思っていました。しかし、私はシングルマザーとして娘を育てており、会社では責任ある立場にもあったので、落ち込んでいる暇はありませんでした。何よりも「娘を1人残して死ねない」という気持ちがあり、気をしっかり持って治療に臨みました。

編集部

発症後はどのような治療をおこなったのでしょうか?

善本さん

医師の説明通り、手術を受けたのですが、病理検査で腹部傍大動脈リンパ節への転移が見つかり、抗がん剤治療と放射線療法も実施しました。その後は1カ月ごとの血液検査と、3カ月ごとのCT画像診断で経過を観察しました。

編集部

がん発症によって生活に変化はありましたか?

善本さん

初発のときは全く変わりませんでした。むしろ、自分としては「がんで死ぬかもしれないんだから好きなことをさせて」というわがままな気持ちで過ごしていました。

5度に及ぶ再発・転移と現在も続く後遺症の多さ

5度に及ぶ再発・転移と現在も続く後遺症の多さ

編集部

善本さんは5度にわたる再発・転移の経験があるそうですが、詳しく教えてもらえますか?

善本さん

最初に再発・転移が見つかったのは2013年です。右肺・両側縦隔リンパ節・両側肺門リンパ節・左鎖骨窩リンパ節に転移が見つかりました。抗がん剤治療と動脈塞栓術をおこなった後、両側縦隔リンパ節・両側肺門リンパ節を開胸手術で切除しました。しかし、その後も肝臓、右腸骨リンパ節と次々に再発・転移が見つかりました。いずれも動脈塞栓術と重粒子線治療をおこない、2013年12月に治療終了して現在に至ります。

編集部

再発・転移を繰り返されていますが、精神的な支えになったものはありますか?

善本さん

あまり「これだ」というものはありませんでした。当時は自分のことで精一杯で、次第に娘のことを邪魔に思うほど追い詰められていました。しかし、ふとした疑問から日々の些細な出来事がありがたいと感じるようになり、それからは気持ちが前向きに変わっていきました。

編集部

現在の体調や生活の様子についても教えていただけますか?

善本さん

再発・転移の際に骨盤内リンパ節の郭清手術をおこなっているので、足のしびれや痛みが常にあります。また、骨盤内への放射線療法の影響で、突然の尿意や頻尿がありますし、左右の開胸手術の影響で肋間神経麻痺と腹部の浮腫もあります。重粒子線治療では皮膚の突っ張りや変色のほか、左鎖骨から左腕全体までのしびれとだるさもあります。

編集部

病気の影響は少なくないのですね。

善本さん

ですが、そうした後遺症や不調がある中でも、その不調を感じられるのは命があってこそだと思って、喜ぶことを意識しています。また、生かしてもらっている今に感謝して、仏教について学んだり、NPO活動や社会貢献をしたりする日々も大切にしています。つらいときは深呼吸をすることを心がけて、体を労わるために足首やお腹を温め、白湯や酵素玄米などで健康にも気を遣っています。

※この記事はメディカルドックにて《【闘病】「子宮頸がん」で5度の再発・転移を経験 それでも『命があってこそ』》と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。

なお、メディカルドックでは病気の認知拡大や定期検診の重要性を伝えるため、闘病者の方の声を募集しております。皆さまからのご応募お待ちしております。


(後編)【闘病】病気と闘ったからこそ気付けたこと、出会えた人に感謝

配信元: Medical DOC

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