インフルエンザウイルスは絶えず変異を繰り返しており、新たな型や亜型が出現する可能性があります。A型インフルエンザは症状が重篤になりやすく、B型は春先に流行することが多い特徴があります。C型は症状が軽微で主に乳幼児に感染しやすい型です。世界保健機関では世界各地のウイルスの遺伝子解析を継続的に行い、変異の監視と新型ウイルスの早期発見に努めています。

監修医師:
五藤 良将(医師)
防衛医科大学校医学部卒業。その後、自衛隊中央病院、防衛医科大学校病院、千葉中央メディカルセンターなどに勤務。2019年より「竹内内科小児科医院」の院長。専門領域は呼吸器外科、呼吸器内科。日本美容内科学会評議員、日本抗加齢医学会専門医、日本内科学会認定医、日本旅行医学会認定医。
インフルエンザの特徴
インフルエンザウイルスは絶えず変異を繰り返しており、新たな型や亜型が出現する可能性があります。世界保健機関(WHO)では世界各地のウイルスの遺伝子解析を継続的に行い、変異の監視と新型ウイルスの早期発見に努めています。これらの情報は毎年のワクチン株の選定や、パンデミック対策の立案に活用されています。
A型インフルエンザの特徴と流行パターン
A型インフルエンザは最も一般的で、症状が重篤になりやすい型です。表面に存在するヘマグルチニン(H)とノイラミニダーゼ(N)という2つのタンパク質の組み合わせにより、多数の亜型が存在します。現在人間の間で流行しているのは主にH1N1型とH3N2型で、これらが毎年の季節性インフルエンザの主要な原因となっています。
A型の特徴は、ウイルスの遺伝子変異が起こりやすく、毎年少しずつ性質が変化することが挙げられます。この現象を抗原ドリフトと呼び、既存の免疫が効きにくくなるため、毎年新しいワクチンの開発が必要となります。また、稀に大きな変異(抗原シフト)が起こると、パンデミックと呼ばれる世界的大流行を引き起こす可能性があります。
症状は39度以上の高熱、強い倦怠感、筋肉痛、関節痛などが急速に現れることが多く、日常生活に大きな支障をきたします。咳や鼻水などの呼吸器症状に加えて、頭痛や食欲不振なども伴うことがあります。高齢者や基礎疾患のある方では、肺炎などの重篤な合併症を起こすリスクが高くなるため、特に注意が必要です。5歳以下の子どもでは脳症を起こす可能性も報告されており、アスピリンを含む解熱剤は重症化を招く可能性があります。
B型インフルエンザの特徴と季節性
B型インフルエンザはA型と比較して症状が軽度であることが多いものの、決して軽視できない感染症です。B型にはビクトリア系統とヤマガタ系統の2つの系統があり、どちらが流行するかは年によって異なります。A型ほど頻繁な変異は起こりませんが、それでも定期的な変化により免疫を回避する能力を持っています。
B型の流行時期はA型よりも遅く、通常2月〜4月にかけてピークを迎えます。A型の流行が収束した後に流行が始まることが多く、「春のインフルエンザ」とも呼ばれています。症状の持続期間がA型よりも長く、特に咳症状が数週間続くことがあります。発熱はA型ほど高くならない場合もありますが、消化器症状(下痢、嘔吐)を伴うことがA型より多い傾向があります。
C型インフルエンザとその他の型
C型インフルエンザは他の型と比較して症状が軽微で、風邪様症状を呈することが多い型です。主に乳幼児や小児に感染しやすく、成人では無症状または軽微な症状にとどまることがほとんどです。季節性の流行パターンは明確ではなく、年間を通して散発的に発生します。
C型の特徴は、一度感染すると長期間の免疫が獲得されることが挙げられます。そのため、成人における感染は稀であり、多くの場合は幼児期に感染して免疫を獲得します。症状は軽度の発熱、鼻汁、咳などで、通常は数日から1週間程度で自然に回復します。
近年、D型インフルエンザウイルスも発見されていますが、これは主に豚や牛などの家畜に感染するもので、人間への感染例は報告されていません。ただし、将来的に人間に感染する可能性について継続的な監視が行われています。
まとめ
毎年冬になると私たちの生活に大きな影響を与えるインフルエンザですが、その流行メカニズムや適切な対策を理解することで、感染リスクを大幅に減らすことができます。特に学級閉鎖のような集団感染を防ぐためには、個人の予防意識の向上と社会全体での取り組みが欠かせません。日々の手洗いやマスク着用といった基本的な予防策から、ワクチン接種による免疫獲得まで、さまざまな方法を組み合わせることで効果的な予防が可能となるでしょう。
参考文献
[厚生労働省 インフルエンザ(総合ページ)]国立感染症研究所 インフルエンザ
[文部科学省 学校において予防すべき感染症の解説]

