朝日新聞に脅迫文、「令和赤報隊」を名乗った男に有罪判決 裁判所が突きつけた"正義"の矛盾

朝日新聞に脅迫文、「令和赤報隊」を名乗った男に有罪判決 裁判所が突きつけた"正義"の矛盾

●父親が訪れた謝罪の現場

情状証人として出廷した父親は、現在も被告人と家族4人で暮らしている。

被告人が事件前から既存メディアに批判的だった様子はなく、今は早起きして家の手伝いをしているという。テレビや新聞を通じて社会と接し、SNSから離れた生活を送っているそうだ。

父親は弁護人とともに朝日新聞阪神支局を訪れ、謝罪したという。

その際、1987年の襲撃事件の資料を見せてもらい、当時の凄惨な状況を聞いたという。その事件をなぞるような罪を犯した被告人ともよく話し合ったといい、今後の監督を誓った。

●「嫌いな人間でも、尊厳を考えるべきだった」

被告人は法廷で、事件当時は「安倍元首相の被害を中傷するような内容は許せない思いがあった」と説明し、襲撃事件の被害者写真に穴を開けることにも「迷いはなかった」と振り返った。

荷物を送った後、話題になっていないことが気になり、自分の携帯から支局に電話した。その際も本名を名乗り、「この電話なかったことに」と話すなど、後先考えずに行動してしまう性格も見受けられた。

弁護人:元々はどういう怒りの感情を持っていたのでしょう?
被告人:やはり、同じテロの被害者である安倍元首相を揶揄する川柳を載せたことに。

弁護人:いろいろな考え方、報道姿勢もありうると今は理解していますか?
被告人:はい。

弁護人:段ボールに詰めるときに冷静になれなかった。
被告人:いくら自分の嫌いな人間でも、最低限の尊厳と対応を考えるべきだった。

当時はSNS情報ばかりに触れ、リアルな人間関係で意見交換をせずに視野が狭くなっていたと自己分析する。現在は、新聞やテレビなど多様な情報に接し、自衛隊経験を生かした災害ボランティアにも参加しているという。

なお、事件をきっかけにSNSアカウントを削除し、現存する同名のアカウントは自分のものではないとも強調した。

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