●「自分の行為は正しい」と信じていた
検察官は、事件当時の心境を問うた。
検察官:事件前、学校などへ爆破予告をする事件のニュースを見てどう思っていましたか?
被告人:犯罪行為でバカバカしいなと。
検察官:自分の行為はバカバカしいとは?
被告人:思えなかった。
検察官:自分のしている行為は正しいと。
被告人:そのときは。
怒りに身を任せて行動し、冷静な判断を失っていたと述べるにとどまった。被告人は、直接的な危害を加える気はなかったというが、被害者への恐怖の感情、また模倣犯を生む可能性などの社会的影響について、検察官は諭すように話した。
裁判官は、手段が良くないのは当然として、公的機関に怒りを表明すること自体は否定しないと前置きしたうえで質問した。
裁判官:事件被害者である安倍元首相をあざ笑っているように感じたと言いますが、あなたも痛ましい事件の被害者を侮辱していることに矛盾は感じなかったのですか?
被告人:当時は反感もあり冷静に考えられなかった。
裁判官:穴を開けられた人は悪くないですよね。
被告人:はい。
判決は懲役1年8月、執行猶予3年。裁判官は、被告人なりの正義感かもしれないが、意に沿わないものを威力で解決しようとする手段は許されないと厳しく非難した。

