
「永遠の桃花~三生三世~」(2017年)でブレイクした中国のトップ女優ディリラバが主演、子役出身で圧倒的演技力を持つウー・レイが相手役を務めた大型アクション・ロマンス史劇「長歌行」(2021年)が11月3日(月)から「Jテレ」ごごドラ枠で放送される。ディリラバ、レイをはじめ中国ドラマ界で活躍するスター俳優が多数出演する同作の注目ポイントを紹介する。
■クーデターによって追われたヒロインの復讐劇
原作は中国の少女漫画家・夏達(シャアタァ)の代表作で、日本でも「ウルトラジャンプ」で連載されていた人気コミック。中国・唐の時代、高祖・李淵の次男・李世民が長男・李建成らを殺害したクーデター事件「玄武門の変」がモチーフになっている。
ディリラバ演じる主人公・李長歌は、皇太子・李建成の娘。皇子たちをもしのぐ聡明さと武術の才を備え、叔父・李世民(ゴン・ロー)を師と仰ぎ武術を鍛錬する日々を送っていた。そんなある日、玄武門の変が発生。叔父であり尊敬する世民とその一派によって、父・建成さらには母までも殺害されてしまう。両親を失い追われる身となった長歌は男装して正体を隠し、李世民への復讐を胸に都を出る。
追手から逃れる中で、長歌は阿準と名乗る青年にたびたび遭遇し、危機を救われる。長歌が以前潜入した蹴鞠の試合で初めて顔を合わせたこの阿準、実は放牧民族・阿詩勒部の若き将軍・隼(ウー・レイ)。お互いに素性を隠し、相手を疑いながらも助け合いを重ねる2人は、しだいに友として絆を強めていく。だがある日、けがをして倒れている長歌を助けようとした隼は、長歌が女性であることを知ってしまう――。
■中国女子の“なりたい顔No.1”ディリラバが“男”に!

史実をモチーフに、壮大なスケールで描かれるシリアスな復讐ストーリーである本作。目を引くのは、日本でもよく知られるスター俳優がそろったキャスト陣の豪華さだ。
主人公・長歌行を演じるディリラバは、「永遠の桃花~三生三世~」でブレイクし、そのスピンオフ作品「夢幻の桃花~三生三世枕上書~」(2020年)でヒロインに飛躍したウイグル出身の美人女優。そのゴージャスな美貌は、古装劇はもちろん「プラチナの恋人たち」(2021年)など現代劇にもばっちりハマり、さらにはバラエティでの飾らないキャラクターも人気。中国では若い女性から“なりたい顔No.1”に選ばれたこともあり、Weiboのフォロワー数は驚愕の8000万人超…と、まさにアジアのトップ女優だ。
そんな彼女が今作で演じるのは“男装のヒロイン”。第1話こそ、華やかな衣装をまとって姫らしい笑顔を浮かべる場面が登場するが、クーデターで両親が殺害された後は沈んだ色の衣装に着替え、男として生きることを決意。笑顔を封印し、クールな美青年に変身している。アクションにも定評のあるディリラバらしく、乗馬シーンや殺陣アクションも絶品。ゴン・ジュンと共演したヒット作「安楽伝」(2023年)の女侠・任安楽でも見せたカッコいい乗馬シーンやアクションが冴えわたる。ディリラバの美貌と男装への変化ぶり、アクションだけでも十分な見ごたえだ。

■イケメン俳優ウー・レイ“隼”の優しさが沁みる…
加えて、共演陣も豪華。初対面の長歌を男と信じ、友情を育んでいく阿詩勒隼(あしらしゅん)を演じるウー・レイは、幼少期からCMやドラマで活躍してきた子役出身俳優。「琅琊榜(ろうやぼう) 〜麒麟の才子、風雲起こす〜」(2015年)で少年護衛・飛流を演じてブレイク後、製作費100億円が投じられた超大作「蒼穹の剣」(2018年)で主役に抜擢されるなど古装劇で活躍する一方、北欧・フィンランドで撮影された「ロマンスの降る街」(2024年)など、大人の甘いラブストーリーでも存在感を見せている。
そんなレイが今作で演じるのは、長歌と友として友情を育んでいく若き武人・隼。だが胸に矢が刺さった状態で倒れている長歌を助けた際に、長歌の本当の性別を知る。そこで隼がとった行動がなんと、目隠しをしながら介抱すること。意識を取り戻した長歌は裸を見られたと思って隼を平手打ちするが、隼は頑なに「何も見ていない。目隠ししたのは血が苦手だからだ」と言い張り、その後も長歌と“男同士”の友情を育んでいく。

この2人の穏やかな“ブロマンス”がたまらない。静かな月夜、けがの具合を尋ねた隼に長歌が「大の男だぞ。平気だ」と答えると、それを聞いて隼は「“大の男”か」とほほ笑みながらも「男が2人で月見なんて気持ち悪くないか」と彼女のウソに付き合い、長歌が涙をこぼす場面に遭遇すると「男だって泣くときは泣く。無理しなくていい」と優しく慰める。
それでいて、長歌のピンチには体を張って彼女を守る姿は抜群にカッコよく、友情とも恋愛ともつかぬ感情で彼女を見守るその眼差しに共感せずにいられない。だが運命は過酷なもの。やがて2人は敵対する将軍同士として戦場で顔を合わせることになる――。
■チャオ・ルースー、リウ・ハイクアンも…注目のキャスト陣

この2人のほかにも、本作には日本にもその名が知れ渡る人気俳優が多数出演している。世民の娘で、長歌といとこ同士の李楽嫣(り・らくえん)を演じるのは、中国の“ラブコメ女王”と名高いチャオ・ルースー。「華麗なる皇帝陛下(エンペラー)」(2018年)で主演を務めブレイク後、キュートなルックスでラブコメ史劇・現代ドラマ双方に引っ張りだこの存在へと成長した。今作で演じる李楽嫣はドラマオリジナルキャラクター。おしとやかな姫だった楽嫣にも困難が訪れ、たくましく成長していく姿をドラマチックに演じ、この年に開催された「第16回ソウルドラマアワード」でアジアスター賞を受賞した。
さらに、「明月記 夢うつつの皇女」のファン・イールンが長歌に想いをよせる幼なじみ・魏叔玉(ぎしゅくぎょく)役、「安楽伝」ではディリラバ演じる任安楽に片想いするキャラクターを演じたリウ・ユーニンが長歌の抹殺を明示される武官・皓都(こうと)役で出演。また、「陳情令」(2019年)でイケメン仙師・藍曦臣(ラン・シーチェン)を演じてブレイクしたリウ・ハイクアンも登場し、美貌を発揮しているのでこちらも注目だ。
それぞれが過酷な運命に翻弄される若者たちの戦いと友情、そしてロマンスを壮大なスケールで描く「長歌行」。数々のピンチを、信念を持って乗り越えていく長歌の目覚ましい成長ぶりにもグッとくる古装劇の傑作だ。
◆文=酒寄美智子


