夫の苦言に、グサッとくる
その日の夜、リビングで洋二に今日の出来事を話した。
「ちょっとびっくりしたよ。家から歩いて数分の場所なのに、わざわざ『迎えに来て』って言われて」
「気遣いがないよなあ。まあサオリちゃんのことだから、悪気はないんだろうけど」
洋二はコーヒーを飲みながら、静かに私の話を聞いてくれた。
「悪気がないなら、なおさらタチが悪いって言うか…。私の行動はサオリの都合で変えてもいいって思われてる気がして」
「んー、それはあるかもな。でもさ、もしかしたら、あすかは何でも受け入れるって甘えてるのかもな」
洋二の言葉は、私の心をチクリと刺した。確かに、私はサオリに信用されている。それはうれしいことだけど、甘えられているだけ、ではないだろうか。
「そっか…まあいいや、今回もお出かけは楽しかったし」
私は無理やり自分の違和感に蓋をしてしまった。
あとがき:小さな棘
「親しき仲にも礼儀あり」という言葉があるように、親しい関係だからこそ、相手への配慮は大切です。悪気がないからこそ、相手の気持ちを無視した行動が「普通」になってしまうことの怖さが描かれています。あすかの小さな不満は、やがて彼女自身の心の中を深く傷つけることになります。親友との関係を壊したくないという気持ちと、理不尽さへの怒り。この葛藤があすかを苦しめます。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています
記事作成: ゆずプー
(配信元: ママリ)

