直腸がんは大腸の一部である直腸に発生するがんのことです。いわゆる大腸がんの一種であり、自覚症状が出にくい疾患でもあります。
早期発見・早期治療を行うためには、初期症状を見きわめることが重要です。直腸がんの症状を知っておけば違和感に素早く気付けるでしょう。
この記事では直腸がんの初期症状を中心に解説します。

監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。
※この記事はMedical DOCにて『「直腸がんを疑う初期症状」はご存知ですか?進行した場合の症状も解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。
直腸がんの初期症状
そもそも直腸はS状結腸に続く消化管で、肛門に近い場所に位置します。長さは約20cmで、胃・小腸・直腸で消化・吸収された排泄物を一時的に溜め、適当な時に肛門から排泄する役割を担う器官です。直腸がんはこの直腸にでき、腸に発症するがんのうち約60%もの割合を占めています。
直腸には消化吸収の働きがないため自覚症状がほとんどなく、多くの患者さんに見過ごされてしまっています。その中で注意しておきたい初期症状は肛門出血です。
がんの表面は粘膜がもろく出血しやすいのが特徴です。排便した際に鮮血ではない血液が滴下する、あるいは拭ったトイレットペーパーに付着しているものの痛みがない場合は直腸がんの可能性があります。
出血があるのに痛みがないからといってすべてが直腸がんに結びつくわけではありませんが、出血が度々みられるなら早めに受診するのがよいでしょう。
直腸がんが進行した場合の症状
早期では自覚症状が少ない直腸がんですが、進行するにつれてその他の症状もみられるようになってきます。代表的な3つの症状を解説しましょう。
これらの症状がみられると非常に進行している恐れもあるため、ご自分ならびにご家族にこのような症状がみられていないか確認してみてください。
血便
初期段階での肛門出血は頻度・血の量ともに少ないものの、出血量が増えてくると血便を起こすケースが増えていきます。直腸に到達した便は固形のため、血液と便が混ざらず便の表面に血液が付着しているのが特徴です。
直腸がんの初発症状として患者さんの80%以上が訴えるほど、肛門出血・血便は重要な症状です。見逃して発見を遅らせないためにも、肛門出血が続く方は便の状態もよくチェックするようにしましょう。
貧血症状
直腸がんが進行すると肛門出血・血便などで慢性的な出血が起こり、鉄分不足が原因になることから鉄欠乏性貧血の症状がみられます。主に頭痛・耳鳴り・めまいの症状が引き起こされます。また、放置しているうちに視力低下・さじ状爪も発現するでしょう。
患者さんの中でも特に高齢者の方は、鉄欠乏性貧血をきっかけに直腸がんが発見されるケースが多いです。貧血にはさまざまな病気が隠れている恐れがあるため、ただの貧血と安易に考えるべきではありません。
便が出にくい
直腸にできたがんが大きくなってくると、直腸が狭くなり便が出にくくなっていきます。力まないと便が出なかったり、便が細くなったりするでしょう。
反対に下痢が生じる場合もあり、便秘・下痢が交互に続くケースもみられます。またがんから出血した血液が直腸の粘膜を刺激することで、裏急後重(りきゅうこうじゅう)と呼ばれる便意があるのに便が出ない症状が起こります。
便が出にくいために腸内のガスががんより上の方に溜まり、腹が張って苦しくなる方も多いです。排便時以外でも肛門あたりに不快感・圧迫感を覚え、痛みを感じることも増えてきます。

