急なドキドキ・手の震えは「甲状腺クリーゼ」の前兆サイン?命を守る対処法とは

急なドキドキ・手の震えは「甲状腺クリーゼ」の前兆サイン?命を守る対処法とは

甲状腺クリーゼでは、甲状腺ホルモンの過剰分泌により身体のさまざまな器官系統に急激な変化が現れます。初期症状を正確に把握することは迅速な対処につながる重要な要素です。心血管系や中枢神経系に現れる特徴的な症状を理解し、早期発見により適切な治療開始のタイミングを逃さないことが可能になります。

五藤 良将

監修医師:
五藤 良将(医師)

防衛医科大学校医学部卒業。その後、自衛隊中央病院、防衛医科大学校病院、千葉中央メディカルセンターなどに勤務。2019年より「竹内内科小児科医院」の院長。専門領域は呼吸器外科、呼吸器内科。日本美容内科学会評議員、日本抗加齢医学会専門医、日本内科学会認定医、日本旅行医学会認定医。

甲状腺クリーゼの初期症状と身体の変化

甲状腺クリーゼの初期症状を正確に把握することは、迅速な対処につながる重要な要素です。この緊急事態では、甲状腺ホルモンの過剰分泌により、身体のさまざまな器官系統に急激な変化が現れます。早期発見により、適切な治療開始のタイミングを逃さないことが可能になります。

心血管系に現れる危険な症状

甲状腺クリーゼの際に顕著に現れるのが、心血管系の症状です。心拍数の異常な増加は典型的な症状の一つで、安静時であっても120回/分以上の頻脈が持続します。この状態では、心房細動や期外収縮といった不整脈も併発しやすく、動悸や胸部圧迫感を強く自覚することが多くなります。

血圧に関しては、収縮期血圧の上昇と拡張期血圧の低下により、脈圧が拡大する特徴的なパターンを示します。これは甲状腺ホルモンの作用により末梢血管抵抗が低下する一方で、心拍出量が増加するためです。患者さんは息切れや呼吸困難感を訴えることが多く、軽度の労作でも症状が悪化する傾向があります。

心不全の兆候として、下肢の浮腫や夜間の呼吸困難、起座呼吸などが現れる場合もあります。これらの症状は、甲状腺ホルモンの過剰により心筋の酸素需要が増大し、心機能が代償しきれなくなった結果として発現します。

中枢神経系における重篤な症状

甲状腺クリーゼでは、中枢神経系にも深刻な影響が及びます。意識レベルの変化は重要な指標の一つで、軽度の見当識障害から始まり、進行すると昏睡状態に至ることもあります。この過程では、興奮状態、焦燥感、不安感が強く現れることが特徴的です。

精神症状としては、幻覚や妄想、せん妄状態が出現することがあります。これは甲状腺ホルモンが脳内の神経伝達物質に与える影響によるもので、患者さんの行動が予測困難になる場合があります。家族や周囲の方々は、普段とは明らかに異なる精神状態の変化に注意を払う必要があります。

神経学的症状では、振戦(手の震え)が顕著に現れます。この振戦は安静時でも持続し、細かい動作が困難になることがあります。また、筋力低下や筋肉痛、関節痛を伴うこともあり、日常生活動作に支障をきたす場合があります。

まとめ

甲状腺クリーゼは、適切な知識と早期対応により予防可能です。症状の初期段階での認識、妊娠中の特別な配慮、そして発症原因の理解は、患者さんとそのご家族にとって生命を守るための重要な情報となります。特に妊娠中の方では、母体と胎児の両方への影響を考慮した慎重な管理が不可欠です。
甲状腺機能亢進症と診断されている方や、甲状腺に関する症状がある方は、定期的な医療機関での経過観察を受け、緊急時には迷わず専門医療機関を受診することをおすすめします。

参考文献

日本甲状腺学会 – 甲状腺クリーゼの診断と治療

日本内分泌学会 – 甲状腺疾患診療ガイドライン

日本産科婦人科学会 – 妊娠と甲状腺疾患

日本内科学会 – 妊娠中の甲状腺疾患の薬物療法

配信元: Medical DOC

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