「脳梗塞」知っておきたい3タイプ! 種類別に見る症状の違いとは【医師監修】

「脳梗塞」知っておきたい3タイプ! 種類別に見る症状の違いとは【医師監修】

脳梗塞と一口にいっても、発症の仕組みにより症状や進行の速さが異なります。アテローム血栓性・心原性・ラクナ梗塞の3タイプそれぞれに特徴があり、早期発見や治療法の選択にも影響します。ここでは各タイプの違いと注意すべき症状をわかりやすく紹介します。

伊藤 たえ

監修医師:
伊藤 たえ(医師)

浜松医科大学医学部卒業。浜松医科大学医学部附属病院初期研修。東京都の総合病院脳神経外科、菅原脳神経外科クリニックなどを経て赤坂パークビル脳神経外科菅原クリニック東京脳ドックの院長に就任。日本脳神経外科学会専門医、日本脳卒中学会専門医、日本脳ドック学会認定医。

脳梗塞の種類別に見る症状の違い

脳梗塞は発症メカニズムによって大きく3つに分類され、それぞれ症状の現れ方や進行速度に特徴があります。発症のタイプを理解することで、適切な治療選択や予防策を考えるうえでの参考になります。

アテローム血栓性脳梗塞の症状

アテローム血栓性脳梗塞は、脳の太い血管にコレステロールなどが蓄積して動脈硬化を起こし、血栓が形成されて血管が詰まるタイプです。症状は段階的に進行することが多く、数時間から数日かけて悪化する傾向があります。運動麻痺や感覚障害が徐々に強まり、当初は軽い手足のしびれ程度だったものが、数日後には歩行困難や日常動作の障害に至る場合もあります。

このタイプは高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病を背景に持つ方に多く見られ、中年以降の男性に発症頻度が高い傾向があります。段階的な進行のため、初期段階で医療機関を受診すれば、症状の悪化を食い止められる可能性があります。症状の進行パターンを理解しておくことで、早期の受診判断につながります。

心原性脳塞栓症の症状

心原性脳塞栓症は、心臓でできた血栓が血流に乗って脳へ運ばれ、脳血管を突然塞ぐことで発症します。心房細動という不整脈がある方に多く、症状は突然現れます。発症直後から重度の麻痺や意識障害を伴うことが多く、数分以内に症状のピークに達する特徴があります。

広範囲の脳組織が一度に障害されるため、後遺症が重くなりやすく、早急な治療介入が必要とされます。突然の意識消失や激しい頭痛を伴う場合もあり、救急搬送の対象となることが少なくありません。このタイプの脳梗塞は症状の急激さが特徴的であり、発症後の対応速度が予後を大きく左右します。

ラクナ梗塞の症状

ラクナ梗塞は脳の深部を走る細い血管が詰まるタイプで、日本人に頻繁に見られる脳梗塞の形態です。障害される範囲が小さいため、症状が軽微な場合や、まったく無症状のまま経過することもあります。しかし、軽いしびれや軽度の運動障害が繰り返し起こる場合、複数のラクナ梗塞が蓄積して認知機能の低下や歩行障害につながる可能性があります。

高血圧が重要な危険因子とされ、血圧管理が予防の鍵となります。症状が軽微であっても、繰り返し発症することで脳機能に影響を及ぼす可能性があるため、定期的な健康診断と血圧のコントロールが重要です。無症状の小さな梗塞が積み重なることで、将来的に大きな機能障害を引き起こす可能性があることを認識しておく必要があります。

まとめ

脳梗塞は突然の発症により生活の質を大きく損なう疾患ですが、その多くは予防可能な要因によって引き起こされます。初期症状や前兆を正しく理解し、万が一の際には迅速に行動することが救命と後遺症軽減の鍵となります。片側の麻痺やろれつが回らないといった典型的な症状だけでなく、一過性脳虚血発作のような短時間で消失する症状も重要な警告サインです。FASTによる簡易チェック法を知っておくことで、ご家族や周囲の方も早期発見に貢献できます。

また、高血圧や糖尿病、脂質異常症、心房細動といった基礎疾患の管理、禁煙や適度な運動、バランスの取れた食生活など、日常の積み重ねがリスクを大幅に低減させます。年齢や性別、家族歴といった変えられない要因があっても、生活習慣の改善によってリスクをコントロールすることは可能です。定期的な健康診断を受け、自身の身体の状態を把握することも重要です。

気になる症状がある場合は、早めに内科や神経内科、脳神経外科を受診し、専門医の診察を受けることを推奨します。本記事で紹介した情報は一般的な知識であり、個別の診断や治療に代わるものではありません。脳梗塞の予防と早期発見には、正確な知識と日々の実践、そして専門医との連携が不可欠です。

参考文献

厚生労働省「脳梗塞・くも膜下出血・心筋梗塞・不整脈など

厚生労働省 – 循環器疾患の現状と対策

日本脳卒中学会「脳卒中治療ガイドライン」

日本循環器学会「循環器病ガイドライン」
配信元: Medical DOC

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